最判昭和38年10月15日
境界確定訴訟では裁判所は当事者の主張に拘束されず、控訴審でも不利益変更禁止の原則は適用されないとした判例
出題:予備R4・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和37(オ)938 土地境界確認等請求
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第17巻9号1220頁
- 参照法条
- 民訴法385条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
境界確定訴訟の控訴審と不利益変更禁止の原則。
裁判要旨
境界確定訴訟の控訴裁判所は、第一審判決の定めた境界線を正当でないと認めたときは、第一審判決を変更して、正当と判断する線を境界と定めるべきのものであり、その結果が実際上控訴人にとり不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利である場合であつても、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はないものと解すべきである。
解説
事案
上告人(原告・控訴人)は、本件e番のf畑と被上告人(被告)所有のa番のb山林との境界の確認を求める本訴を提起した。被上告人は、上告人が有刺鉄線を張って占有する448坪の土地は自己の山林の一部であるとして、施設物収去・土地明渡しと、賃料相当額月2500円の損害金を求める反訴を提起した。
第一審は一定の線を境界と定め、上告人がこれに控訴した。被上告人は控訴も附帯控訴もしていない。
原審は、証拠により第一審とは異なる線(公図上の境界の直線を水路まで延長した線)を境界と認定した。しかし、その認定は第一審判決より被上告人に有利であり、被上告人が不服を申し立てていない以上第一審判決を変更しないとして、上告人の控訴を棄却した。上告人が上告した。
争点
- 境界確定訴訟において、裁判所は当事者の主張に拘束されるか(旧民訴186条〔現246条〕との関係)
- 境界確定訴訟の控訴審に不利益変更禁止の原則(旧民訴385条〔現304条〕)が適用されるか
- 附帯控訴をしない被控訴人に有利な境界を定めることができるか
判旨
結論:原判決中、境界確認請求に関する部分を破棄・差戻し。反訴(施設物収去土地明渡し)に関する上告は棄却。
規範(答案用)
- 境界確定訴訟では、裁判所は当事者の主張に拘束されず、自ら正当と認めるところに従って境界線を定める。
- 客観的な境界を知りうる場合はそれにより、知りえない場合は常識に訴えて最も妥当な線を境界と定める。
- 定めた境界が当事者の主張より実際上有利か不利かは問わない。当事者の主張しない境界線を確定しても、旧民訴186条(現246条)に違反しない。
- したがって控訴審は、第一審の境界線を正当でないと認めたときは、第一審判決を変更して自ら正当とする線を境界と定めるべきである。その結果が控訴人に実際上不利で、附帯控訴をしない被控訴人に有利であっても、不利益変更禁止の原則は適用されない。
判決文から
「境界確定訴訟にあつては、裁判所は当事者の主張に覇束されることなく、自らその正当と認めるところに従つて境界線を定むべきものであつて」
当事者の主張に拘束されないという基本規範
「客観的な境界を知り得た場合にはこれにより、客観的な境界を知り得ない場合には常識に訴え最も妥当な線を見出してこれを境界と定むべく」
境界の定め方の基準
「当事者の主張しない境界線を確定しても民訴一八六条の規定に違反するものではないのである」
申立て拘束(現246条)が及ばないこと
「その結果が控訴人にとり実際上不利であり、附帯控訴をしない被控訴人に有利であつても間うところではなく、この場合には、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はないものと解するのが相当である。」
不利益変更禁止の不適用という結論部分
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