最判昭和37年9月4日
不法行為に基づく損害賠償債務は、催告を要せず損害の発生と同時に遅滞に陥るとした判例
出題:司法H22・司法R4・司法R5・司法R7・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和34(オ)117 損害賠償請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第16巻9号1834頁
- 参照法条
- 国家賠償法2条,国家賠償法3条,道路法32条,道路法施行令15条5号,民法412条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 通行人の死亡による損害が国道管理の瑕疵のため生じたものと認められた事例 二 不法行為に基づく損害賠償債務の遅滞の時期
裁判要旨
一 原動機付自転車に乗つた通行人が夜間国道上を通行中、暗渠新設工事のため同国道上に横たえられた枕木に激突、転倒し、死亡した場合において右枕木の位置およびその付近の夜間照明等について原判決認定のような事情(原判決理由参照)があるときは、右通行人が多少酒気を帯びており、右工事が同国道の管理者の許可を受けない等違法のものであつても、同管理者があらかじめ右工事を中止させて国道を原状に回復させ、これを常時安全良好な状態において維持しなかつたかぎり、右死亡による損害は同国道の管理に瑕疵があつたため生じたものというべきである。 二 不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきである。
解説
事案
原動機付自転車に乗った通行人が、夜間に国道を走行中、暗渠新設工事のために国道上に横たえられていた枕木に激突して転倒し、死亡した。被害者は多少酒気を帯びていた。また、この工事は国道管理者の許可を受けていないなど違法なものであった。
被害者の遺族ら(被上告人)は、国道を管理する大分県(上告人)に対し損害賠償を請求した。請求の内容は、賠償金(被控訴人Bに20万円、他の者に各10万円)と、昭和31年1月22日から完済まで年5分の遅延損害金である。
原審は、国道管理の瑕疵に基づく賠償責任を認め、県の過失相殺の主張を退けた。そのうえで、第一審判決より県に不利な判決をした。これに対し県が上告し、主に次の3点を争った。
- 不利益変更禁止違反
- 管理瑕疵の判断・過失相殺
- 遅延損害金の起算点
争点
- 不法行為に基づく損害賠償債務はいつから履行遅滞に陥るか(催告の要否)
- 違法な無許可工事による路上障害物で事故が生じた場合に国家賠償法2条の道路管理の瑕疵が認められるか
- 相手方の準備書面を附帯控訴と解して第一審判決より控訴人に不利な判決をすることの可否
判旨
上告棄却。
- 遅滞時期:不法行為に基づく損害賠償債務は、損害の発生と同時に、なんらの催告を要することなく遅滞に陥る。したがって、遅延損害金は損害発生時から請求できる。
- 管理瑕疵:枕木の位置や付近の夜間照明等が原判決認定のような状況であった場合は、被害者が多少酒気を帯びていても、工事が管理者の許可を受けない違法なものであっても、責任は否定されない。管理者があらかじめ工事を中止させて国道を原状に回復させ、常時安全良好な状態に維持しなかった以上、死亡による損害は国道の管理の瑕疵によって生じたものである(国家賠償法2条)。
- 不利益変更禁止:控訴審は、相手方の附帯控訴がない限り、控訴人に第一審判決より不利益な判決をすることはできない。しかし本件では、被控訴人の準備書面が、その内容上附帯控訴および請求の拡張の申立書と解されるので、その範囲内での認容は違法でない。
判決文から
「右賠償債務は、損害の発生と同時に、なんらの催告を要することなく、遅滞に陥るものと解するのが相当である。」
不法行為債務の遅滞時期についての規範部分
「控訴審は、当事者の一方から控訴の申立があつた場合には、相手方から附帯控訴の申立がないかぎり、控訴人に対し、第一審判決よりも不利益な判決をしえないことは、所論のとおりである。」
不利益変更禁止の原則を確認した部分
「右書面はその内容上、附帯控訴および請求の拡張の申立書と解するのが相当である。」
準備書面を実質で附帯控訴と解した点
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
