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大阪市売春取締条例事件

最大判昭和37年5月30日

条例で罰則を定めるための法律の授権は、相当な程度に具体的で限定されていれば足り、憲法31条に違反しないとした判例

憲法財政・地方自治人身の自由行政上の強制手段本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法H23・司法H24・予備H23

裁判所
最高裁判所大法廷
事件番号
昭和31(あ)4289 大阪市条例第六八号違反
裁判
判決・棄却
判例集
刑集 第16巻5号577頁
参照法条
憲法31条,憲法73条6号,憲法94条,地方自治法2条2項,地方自治法2条3項1号,地方自治法14条1項,地方自治法14条5項,昭和25年大阪市条例68号,昭和25年大阪市条例2条1項,売春防止法附則4項,売春防止法附則5項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 憲法第三一条の趣旨―刑罰はすべて法律そのもので定めなければならないか 二 地方自治法第一四条第五項およびこれに基づく昭和二五年大阪市条例第六八号第二条第一項の合憲性

裁判要旨

一 憲法三一条はかならずしも刑罰がすべて法律そのもので定められなければならないとするものでなく、法律の授権によつてそれ以下の法令によつて定めることもできると解すべきで、このことは憲法七三条六号但書によつても明らかである。 二 地方自治法第一四条第五項およびこれに基づく昭和二五年大阪市条例第六八号「街路等における売春勧誘行為等の取締条例」第二条第一項は、憲法第三一条に違反しない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

大阪市は昭和25年、「街路等における売春勧誘行為等の取締条例」(大阪市条例68号)を公布・施行した。同条例2条1項は、売春の目的で街路その他公の場所において他人の身辺につきまとい、または誘う行為を、5000円以下の罰金または拘留に処すると定めていた。

被告人はこの条項の違反で有罪とされ、原審(大阪高裁)も同条項を合憲・合法とした。

当時の地方自治法は、次のように定めていた。

  • 2条2項・3項:風俗または清潔を汚す行為の制限その他の保健衛生・風俗のじゅん化に関する事項(3項7号)、住民及び滞在者の安全・健康・福祉の保持(同項1号)を、普通地方公共団体の事務とする。
  • 14条1項・5項:法令に特別の定めがあるものを除き、条例に、違反者に対する2年以下の懲役・禁錮、10万円以下の罰金、拘留、科料または没収の刑を科する規定を設けることができる。

行為当時、この事項について法令に特別の定めはなかった。

弁護人は主に次の3点を主張して上告した。

  • 地方自治法14条1項・5項の授権は不特定・抽象的で、罪刑法定主義を定める憲法31条に違反する。
  • 街頭での売春勧誘の取締りは国の事務であり、憲法94条に違反する。
  • 売春防止法成立前に売春勧誘を処罰するのは当時の法秩序に反する。

争点

  • 憲法31条は、刑罰をすべて国会の制定する法律そのもので定めることを要求するか
  • 地方自治法14条5項(当時)による条例への罰則の授権は、白紙委任として憲法31条に違反しないか
  • 売春防止法成立前に、街頭での売春勧誘行為を条例で取り締まることは憲法94条に違反しないか

判旨

上告棄却。地方自治法14条5項(当時)と本件条例2条1項は、いずれも憲法31条に違反しない。

規範

  • 憲法31条は、刑罰をすべて法律そのもので定めることまで要求するものではない。法律の授権によって、それ以下の法令で定めることもできる(憲法73条6号但書からも明らか)。
  • ただし、授権は不特定な一般的の白紙委任的なものであってはならない。
  • 条例は、公選の議員で組織する議会の議決を経て制定される自治立法であり、法律に類する。したがって、条例で刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されていれば足りる。

あてはめ

  • 地方自治法2条3項7号・1号は、相当に具体的な内容の事項である。
  • 14条5項の刑罰の範囲も限定されている。
  • よって、この授権に基づいて条例で罰則を定めることは、憲法31条にいう「法律の定める手続」によって刑罰を科するものといえる。

憲法94条違反の主張について
売春防止法成立前は、この種の行為を取り締まる法令はなかった。そのため、地方公共団体は地方自治法14条により罰則付き条例で取り締まることができたとして、主張を退けた。

判決文から

「憲法三一条はかならずしも刑罰がすべて法律そのもので定められなければならないとするものでなく、法律の授権によつてそれ以下の法令によつて定めることもできると解すべきで、このことは憲法七三条六号但書によつても明らかである。」

31条の下でも罰則の委任が可能であることを示した部分

「ただ、法律の授権が不特定な一般的の白紙委任的なものであつてはならないことは、いうまでもない。」

委任の限界として白紙委任は禁止される

「行政府の制定する命令等とは性質を異にし、むしろ国民の公選した議員をもつて組織する国会の議決を経て制定される法律に類するものであるから」

条例への委任を緩和する根拠(民主的性格)

「条例によつて刑罰を定める場合には、法律の授権が相当な程度に具体的であり、限定されておればたりると解するのが正当である。」

答案に書くべき規範そのもの

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。