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最判昭和37年5月1日

善意の前者が人的抗弁の対抗を受けない場合、その地位を承継した悪意の所持人にも抗弁は対抗できない(抗弁は復活しない)

商法手形法・小切手法商法総則・商行為取締役・取締役会・代表取締役本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:予備R5・予備R7

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和35(オ)23 約束手形金請求
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第16巻5号1013頁
参照法条
手形法17条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

人的抗弁の存在につき手形所持人の前者が善意であつた場合と手形法第一七条但書の適用

裁判要旨

人的抗弁の存在につき手形所持人の前者が善意であるため、手形債務者が右前者に対し人的抗弁を対抗しえなかつた場合は、手形所持人が右人的抗弁の存在を知つて手形を取得しても、右人的抗弁の対抗を受けない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

振出人Iが振り出した約束手形に、Y会社(上告人)のE支店長Fが、Yを代理して手形保証をした。Fには、Yを代理して手形保証をする権限について制限があった。受取人H繊維株式会社は、白地式裏書によりこの手形をD商店に譲渡した。D商店は白地を補充しないまま、引渡しにより米国人Gに譲渡し、Gも引渡しによりX(被上告人)に譲渡した。XがYに手形金を請求した。

原審は、Xの請求を認めた。理由は次のとおりである。

  • D商店がFの権限制限を知って手形を取得したと認める証拠はない。したがってYはD商店に対して手形債務を負う。
  • その後に適法に手形を取得した者はD商店の権利を承継するから、XはFの権限制限について善意か悪意かを問わず、Yに請求できる。

Yは上告し、次の点を主張した。

  • 商法42条(当時)違反
  • 手形法17条の解釈の誤り
  • 引渡しによる譲渡を受けたD商店・Gの権利者性
  • Fは見本として呈示後すぐ返還する約定で保証したにすぎないこと

争点

  • 人的抗弁につき善意の前者を経由した後、悪意で手形を取得した所持人に対し、手形債務者は手形法17条但書により抗弁を対抗できるか
  • 包括的代理権を有するが権限に制限のある支店長の行為に、商法42条(表見支配人)が適用されるか、それとも商法38条2項(支配人の代理権制限)の問題か
  • 善意の前者から手形上の権利を承継した悪意者に、支配人の代理権制限を対抗できるか
  • 白地式裏書後に補充せず引渡しで譲渡した者は、手形上の権利者といえるか

判旨

上告棄却(Xの請求を認めた原審を維持)。

規範(手形法17条但書)

  • 17条但書は、手形債務者が所持人の前者に人的抗弁を対抗できた場合に、所持人が害意をもって取得したとき、その所持人にも抗弁を対抗できるとする規定である。
  • 前者が善意であったため、債務者がその前者に人的抗弁を対抗できない場合には、前者の地位を承継した所持人が悪意であっても、抗弁の対抗は許されない。

規範(商法総則)

  • 支店長として営業に関する包括的代理権を有し、その権限に制限があるにすぎない者には、商法42条(表見支配人)は適用されない。商法38条2項(支配人の代理権制限)の問題となる。
  • 38条2項は、第三者が悪意であればどんな場合でも制限を対抗できるとする規定ではない。適法に権利を取得した善意者から手形上の権利を承継した者は、38条2項によって権利を取得したのではない。そのため、承継の際に代理権の制限について悪意でも、制限を対抗されない。

その他

  • 白地式裏書を受けた者が補充せず引渡しで譲渡することは、手形法13条2項・14条1項・2項3号により許される。手形に氏名が記載されなくても、その者は手形上の権利者である。

判決文から

「手形法一七条但書は、手形債務者が手形所持人の前者に対し人的抗弁をもつて対抗しえた場合に、手形所持人が害意をもつて手形を取得したときは、これに対しても右人的抗弁をもつて対抗しうる旨の規定であつて」

17条但書の適用場面を、前者に対抗できた場合に限定した

「手形所持人の前者が善意であるため、手形債務者がこれに対し人的抗弁を対抗しえない場合においても、その前者の地位を承継した手形所持人に対しその悪意を云為して右人的抗弁の対抗を許すものと解すべきではない」

抗弁不復活の核心部分

「同条項は、支配人の代理権を加えた制限は第三者が悪意である限り如何なる場合にもこれを対抗しうる旨を定めたものではなく」

代理権制限の対抗も善意者介在で遮断される

「支店の支店長であつて、その営業に関する包括的代理権を有し、ただその権限に制限のある者に対し適用さるべき法規ではない」

表見支配人規定と代理権制限規定の振り分け

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。