警察法改正無効事件
両院で議決を経たとされ適法に公布された法律について、裁判所は議事手続の適否を審理しないとした判例
出題:司法H24・司法H29・司法R6・予備H24
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和31(オ)61 地方自治法に基く警察予算支出禁止
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第16巻3号445頁
- 参照法条
- 地方自治法243条の2,憲法59条,憲法81条,憲法92条,旧警察法(昭和22年法律196号)40条,警察法(昭和29年法律162号)36条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 地方公共団体の議会の議決と地方自治法第二四三条の二第四項の訴訟 二 法令審査権と国会の両院における法律制定の議事手続 三 市町村警察を廃止しその事務を都道府県警察に移した昭和二九年法律第一六二号警察法は、憲法第九二条に違反するか
裁判要旨
一 地方公共団体の議会の議決があつた公金の支出についても、地方自治法第二四三条の二第四項の訴訟によりその禁止、制限等を求めることができる。 二 裁判所の法令審査権は、国会の両院における法律制定の議事手続の適否には及ばないと解すべきである。 三 市町村警察を廃止しその事務を都道府県警察に移した昭和二九年法律第一六二号警察法は、憲法第九二条に違反するものではない。
解説
事案
昭和29年6月8日に新警察法(昭和29年法律162号)が公布された。同法は市町村警察を廃止し、その事務を都道府県警察に移すものである。大阪府議会は同年6月30日、知事が提出した同年度追加予算を可決し、その中に同法を原因とする警察費(公安委員会費)約9億円余が計上された。
大阪府の住民である上告人らは、同年7月28日、地方自治法243条の2(当時)に基づき訴えを提起した。請求内容は、知事に対し、この警察費の支出の禁止と、すでに支出した金員の原状回復措置を求めるものである。理由として、次の2点を主張した。
- 新警察法は参議院の議決を欠くため成立していない
- 同法は内容上、憲法92条の「地方自治の本旨」に反し無効である
したがって、これに基づく支出は違法だという主張である。
第一審と原審(大阪高裁)は、次の理由で請求を棄却した。監査委員の権限は執行機関の行為に限られ、議会の議決には及ばない。同条の訴訟も同様に解すべきである。そうすると、府議会が議決した予算に基づく支出は、裁判を求めうる違法に当たらない。上告人らが上告した。
争点
- 議会の議決に基づく公金支出についても、地方自治法243条の2第4項の住民訴訟で禁止・制限を求めうるか
- 裁判所の法令審査権は、国会両院における法律制定の議事手続の適否に及ぶか
- 市町村警察を廃止し都道府県警察に移した新警察法は憲法92条に違反するか
判旨
上告棄却。理由中の原判決の法令解釈には誤りがあるが、請求自体に理由がないため、棄却の結論は正当とした(民訴法384条2項〔当時〕)。
- 住民訴訟の対象:長その他の職員の公金支出は、議会の議決に基づくことを要すると同時に、法令に従わなければならない。議会の議決があっても、法令上違法な支出が適法となるわけではない。したがって、議決に基づく支出についても、地方自治法243条の2第4項の訴訟で執行の禁止・制限等を求めることができる。
- 議事手続の審査(規範):法律が両院において議決を経たものとされ、適法な手続によって公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重すべきである。法律制定の議事手続に関する事実を審理して、その有効無効を判断すべきでない。
- 憲法92条:市町村警察を廃止し、その事務を都道府県警察に移したことは地方自治の本旨に反しない。新警察法は憲法92条に違反しない。
判決文から
「同法は両院において議決を経たものとされ適法な手続によつて公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重すべく同法制定の議事手続に関する所論のような事実を審理してその有効無効を判断すべきでない。」
議事手続に司法審査が及ばないとする中心規範
「議会の議決があつたからというて、法令上違法な支出が適法な支出となる理由はない。」
議決があっても住民訴訟の対象となる根拠
「ことに訴訟においては、議決に基くものでも執行の禁止、制限等を求めることができるものとしなければならない。」
住民訴訟に関する判示事項一の結論
「同法が市町村警察を廃し、その事務を都道府県警察に移したからといつて、そのことが地方自治の本旨に反するものと解されないから、同法はその内容が憲法九二条に反するものとして無効な法律といいえない。」
法律の内容面は審査し合憲と判断した部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
