最判昭和36年7月20日
時効完成後の第三者が登記しても、その登記後さらに時効期間の占有を続ければ、登記なくして時効取得を対抗できる。
出題:司法H25・司法H30
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和34(オ)779 所有権移転登記手続履行請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第15巻7号1903頁
- 参照法条
- 民法162条,民法177条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
時効による不動産の所有権取得とその対抗要件。
裁判要旨
不動産の取得時効が完成しても、その登記がなければ、その後に所有権取得登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないが、第三者の右登記後に占有者がなお引続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、その第三者に対し、登記を経由しなくとも時効取得をもつて対抗しうるものと解すべきである。
解説
事案
本件山林は、もとa部落の所有であった。被上告人の被承継人である第一次D神社は、明治38年5月29日から大正4年5月29日までの10年間、所有の意思をもって平穏・公然・善意・無過失に山林を占有した。これにより取得時効が完成したが、その登記はしなかった。
その後、大正15年8月26日に上告人がa部落から山林の寄附を受け、所有権取得の登記を備えた。第一次D神社は、この登記の日から昭和11年8月26日までの10年間、引き続き同様の態様で占有を続けた。
被上告人は、第一次D神社と人格の同一性を保つ第二次D神社の包括承継人である。被上告人が上告人に対して所有権移転登記手続を求め、原審はこれを認めた。原審は、上告人の登記によって時効が中断したと判示していた。上告人が上告した。
争点
- 取得時効完成後に所有権取得登記を備えた第三者に対し、時効取得者は登記なくして対抗できるか
- 第三者の登記後、占有者がさらに時効取得に必要な期間占有を継続した場合、その第三者に登記なくして時効取得を対抗できるか
- 第三者の登記は取得時効を中断するか
判旨
上告棄却。
- 時効完成後の第三者:時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては、時効による権利取得を対抗できない(民法177条)。
- 第三者の登記後に時効が完成した場合:その第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得を対抗できる。最判昭和35年7月27日を引用している。
- 本件へのあてはめ:第一次D神社は、上告人の登記の日からさらに10年間、所有の意思をもって平穏・公然・善意・無過失に占有を継続した。したがって、時効による所有権取得を登記なくして上告人に対抗できる。その包括承継人である被上告人も同じ主張ができる。
- 原判決の誤り:上告人の登記によって時効が中断されるとした原判決の判示は失当である。ただし結論は正当であるから、上告は理由がない。
判決文から
「時効による権利の取得の有無を考察するにあたつては、単に当事者間のみならず、第三者に対する関係も同時に考慮しなければならぬのであつて」
時効取得の問題を登記の先後で処理する出発点
「時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえない」
時効完成後の第三者とは対抗関係に立つ
「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうる」
再度の時効完成なら登記不要という規範
「原判決は、上告人の前記登記によつて時効が中断されるものと判示したのは失当たるを免れないが、結局その結論において正当である」
第三者の登記は時効中断事由にならない
「上告人と被上告人との間に第三者の関係、従つて、登記問題の起きる余地はない。」
包括承継人は当事者の地位に立つ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
