SaySayLaw

最判昭和35年9月8日

捜査機関が任意処分として行う検証の結果を記載した実況見分調書も刑訴法321条3項の書面に含まれ、それは憲法37条2項に反しないとした判例

刑事訴訟法伝聞例外伝聞法則捜索・差押え・検証本試験で 6 問(短答 6・論文 0)

出題:予備H23・予備H27・予備R2・予備R7

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和35(あ)887 業務上過失致死
裁判
判決・棄却
判例集
刑集 第14巻11号1437頁
参照法条
刑訴法321条3項,憲法37条2項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 刑訴法第三二一条第三項と実況見分調書 二 刑訴法第三二一条第三項と憲法第三七条第二項前段

裁判要旨

一 刑訴第三二一条第三項所定の書面には捜査機関が任意処分として行う検証の結果を記載したいわゆる実況見分調書も包含する。 二 刑訴第三二一条第三項は憲法第三七条第二項前段に違反しない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

業務上過失致死被告事件である。第一審は被告人を有罪とし、原審(東京高裁)もこれを是認した。判決全文から分かる範囲では、被告人には事故発生を未然に防止すべき注意義務があるとされ、対向者が道路交通取締法施行令8条2項所定の措置を採らなかったことも争われている。第一審判決は、被告人の各供述調書(自白)のほかに補強証拠を挙げていた。

弁護人は上告し、主に次の点を主張した。

  • 供述の任意性と自白の補強に関する違憲の主張
  • 刑訴法321条3項は捜査機関の検証の結果を記載した書面について定めるものであり、任意処分である実況見分の調書をこれに含めるのは憲法37条2項前段(証人審問権)に反するとの主張
  • 注意義務・違法性の認識の可能性についての主張、事実誤認、量刑不当

争点

  • 捜査機関が任意処分として行う実況見分の結果を記載した調書(実況見分調書)は、刑訴法321条3項所定の書面に含まれるか
  • 実況見分調書を321条3項で証拠とすることは、憲法37条2項前段に違反しないか
  • 自白の補強証拠は犯罪事実の全部を裏付ける必要があるか(付随的判断)

判旨

上告棄却。

  • 刑訴法321条3項所定の書面には、捜査機関が任意処分として行う検証の結果を記載したいわゆる実況見分調書も含まれる。 したがって実況見分調書は、作成者が公判期日に証人として尋問を受け、真正に作成されたものであることを供述すれば、証拠とすることができる。
  • このように解しても、321条3項は憲法37条2項前段に違反しない(最大判昭和24年5月18日に照らし明らか)。
  • 付随的判断として、自白を補強すべき証拠は、自白にかかる犯罪事実の全部を漏れなく裏付ける必要はなく、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足りる。本件の補強証拠が過失の点に直接触れていなくとも、自白にかかる事実の真実性を保障するに十分であり、補強証拠として欠けるところはないとした。
  • 対向者が道路交通取締法施行令8条2項の措置を採らなかったとしても、被告人の注意義務に影響はない。注意義務違反の罪責を判断する際に、違法性の認識の可能性を審究する必要もない。

判決文から

「刑訴三二一条三項所定の書面には捜査機関が任意処分として行う検証の結果を記載したいわゆる実況見分調書も包含するものと解するを相当とし」

実況見分調書に321条3項を適用する中核部分

「かく解したからといつて同条項の規定が憲法三七条二項前段に違反するものでないことは当裁判所大法廷判例(昭和二四年五月一八日宣告刑集三巻六号七八九頁参照)に照らし明かである」

証人審問権との関係で合憲とした部分

「所論供述中実況見分調書における供述記載は証拠とされたものとは認められない」

調書中の供述記載は判断対象外であることを示す

「自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪事実の全部にわたつて洩れなくこれを裏付けるものであることを必要とせず、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足る」

補強の範囲についての規範(先例の確認)

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。