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最判昭和35年7月27日

取得時効の起算点は時効の基礎たる事実の開始時に固定され、援用者が任意に選ぶことはできない

民法不動産登記と対抗要件時効物権総論・物権変動本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R7・予備R7

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和32(オ)344 土地所有権確認等請求
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第14巻10号1871頁
参照法条
民法144条,民法162条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

取得時効の時効期間の起算点。

裁判要旨

時効期間は、時効の基礎たる事実の開始された時を起算点として計算すべきもので、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

土地所有権確認等請求事件である。上告人らは取得時効による土地所有権の取得を主張し、時効の基礎たる事実が法定の時効期間以上継続した場合には、援用者が起算点を任意に選択して時効完成の時期を定めることができるという立場から、これを認めなかった原判決(東京高裁)の違法を主張して上告した(上告理由第一点)。

原判決は、起算点は時効の基礎たる事実の開始時に固定されるという趣旨で判断していた。判決理由が第三者の登記と時効完成との先後関係を論じていることから、起算点をどこに置くかによって、登記を経由した第三者に時効取得を対抗できるかどうかが左右される関係にあったことがうかがわれる。

あわせて上告人らは原審の事実認定も争った(上告理由第二点)が、これは証拠の取捨・事実認定への非難にすぎないとして排斥された。最高裁は上告を棄却した。

争点

  • 取得時効の基礎たる事実が法定期間以上継続した場合、援用者は起算点を任意に選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりできるか
  • 時効取得者と登記を経由した第三者との関係(民法177条)が、起算点の決定にどう影響するか

判旨

上告棄却。

規範:取得時効完成の時期は、時効の基礎たる事実が法定期間以上継続した場合でも、必ず時効の基礎たる事実の開始した時を起算点として決定すべきである。取得時効の援用者が任意に起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない(民法144条・162条)。

前提となる対抗関係の整理

  • 時効完成後に登記を経由した第三者に対しては、登記がなければ時効取得を対抗できない(民法177条)。
  • 第三者の登記後に時効が完成した場合には、その第三者に対し、登記なくして時効取得を対抗できる。

大審院の先例(大正14年7月8日連合部判決、昭和13年5月7日・昭和14年7月19日判決)を正当として維持し、判例変更の必要はないとした。

判決文から

「時効による権利の取得の有無を考察するにあたつては、単に当事者間のみならず、第三者に対する関係も同時に考慮しなければならぬのであつて」

起算点固定の根拠が第三者との関係にあることを示す

「時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえない(民法一七七条)」

時効完成後の第三者には登記が必要とする部分

「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においてはその第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうることとなると解すべきである。」

時効完成前の第三者には登記不要とする部分

「必らず時効の基礎たる事実の開始した時を起算点として時効完成の時期を決定すべきものであつて、取得時効を援用する者において任意にその起算点を選択し、時効完成の時期を或いは早め或いは遅らせることはできないものと解すべきである。」

本判決の中心規範。答案にそのまま使える

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。