東京都公安条例事件
集団行動の「潜在する物理的力」を根拠に、文面上許可制の東京都公安条例を実質届出制とみて憲法21条に違反しないとした判決
出題:司法H26・司法H30・司法R1・司法R3・司法R5・予備R3・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和35(あ)112 昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例違反
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第14巻9号1243頁
- 参照法条
- 昭和25年東京都条例44号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例,憲法21条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例の合憲性。
裁判要旨
昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例は憲法第二一条に違反しない。
解説
事案
昭和25年東京都条例第44号(集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例)は、次のような内容の条例である。
- 1条:道路その他公共の場所における集会・集団行進と、場所のいかんを問わない集団示威運動(あわせて「集団行動」)について、公安委員会の許可を要するとする。
- 3条:公安委員会は、集団行動の実施が「公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」のほかは、許可しなければならないとする。
- 開始日時の一定時間前までに不許可の意思表示がなければ許可があったものとみなす規定はない。
原審の東京地方裁判所は、みなし許可規定がないことから、この条例は集団行動を一般的に禁止するものであり、場所の限定も不明確であるとして、条例を違憲・無効と判断し、被告人らを無罪とした。検察官が上告した。
争点
- 集団行動(集会・集団行進・集団示威運動)を公安条例で事前に規制することは憲法21条に反しないか
- 文面上許可制をとる本条例が、表現の自由に対する必要かつ最小限度の規制といえるか(許可制と届出制の区別)
- みなし許可規定の不存在や、規制場所の包括的な定め(「場所のいかんを問わず」)が違憲の理由となるか
判旨
原判決を破棄し、東京地裁に差し戻した。本条例は憲法21条に違反しない。
- 規範:集団行動は表現の自由として保障される要素を含む。しかし、集団行動は潜在する物理的力に支えられており、暴徒化する危険がある。そのため、地方公共団体が公安条例によって、地方的情況その他諸般の事情を十分考慮に入れ、不測の事態に備えて、法と秩序を維持するに必要かつ最小限度の措置を事前に講ずることはやむを得ない。
- 判断方法:必要かつ最小限度かどうかは、「許可」か「届出」かという概念・用語のみで判断しない。立法技術上の多少の欠陥にも拘泥しない。条例全体の精神を実質的かつ有機的に考察して判断する。
- あてはめ:本条例は許可を義務づけ、不許可の場合を「直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」に厳格に限定している。したがって、実質において届出制と異ならない。濫用のおそれがありうることは、違憲の理由とならない。
判決文から
「現在する多数人の集合体自体の力、つまり潜在する一種の物理的力によつて支持されていることを特徴とする。」
集団行動を他の表現と区別する根拠(暴徒化論の前提)
「平穏静粛な集団であつても、時に昂奮、激昂の渦中に巻きこまれ、甚だしい場合には一瞬にして暴徒と化し、勢いの赴くところ実力によつて法と秩序を蹂躪し」
いわゆる「デモ隊暴徒化論」の核心部分
「法と秩序を維持するに必要かつ最小限度の措置を事前に講ずることは、けだし止むを得ない次第である。」
公安条例による事前規制を許容する規範
「「許可」を得ることまたは「届出」をすることのいずれであるかというような、概念乃至用語のみによつて判断すべきでない。」
許可制・届出制の形式的区別を否定した判断方法
「本条例は規定の文面上では許可制を採用しているが、この許可制はその実質において届出制とことなるところがない。」
合憲判断の決め手となったあてはめ
「しかし濫用の虞れがあり得るからといつて、本条例を違憲とすることは失当である。」
運用上の濫用可能性を違憲理由としない立場
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
