最判昭和35年6月23日
賃貸人と転借人の地位が同一人に帰しても、消滅させる合意がない限り転貸借は当然には消滅しない。
民法債権の目的・効力弁済・相殺本試験で 2 問(短答 2・論文 0)
出題:司法H30・司法R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和33(オ)890 家屋明渡並びに損害賠償請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第14巻8号1507頁
- 参照法条
- 民法601条,民法613条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
賃貸人の地位と転借人の地位との混同と転貸借。
裁判要旨
賃貸人の地位と転借人の地位とが同一人に帰した場合であつても、転貸借は、当事者間にこれを消滅させる合意の成立しない限り、消滅しないものと解すべきである。
解説
事案
上告人が、家屋を占有する被上告人らに対し、家屋の明渡しと損害賠償を求めた事案である。
- 被上告人B1は、自己の家屋占有は不法ではないと主張した。
- 原審は、この主張を認めるにあたり、B1に転借権があると認定した。損害賠償請求についても、転借権の存在を理由に損害は発生しないとした。
- 原判決の認定では、家屋の所有権者である賃貸人の地位と、転借人の地位とが同一人に帰していた。
上告人は、当事者が具体的に主張していない転借権を認定したこと、および転借権について釈明しなかったことを違法として上告した。
争点
- 賃貸人の地位と転借人の地位が同一人に帰した場合、転貸借関係は混同により当然に消滅するか
- 民法613条1項に基づく転借人の賃貸人に対する直接の義務は混同によりどうなるか
- 占有が不法でない事情として、当事者の具体的な主張がなくても転借権を認定でき、釈明義務も生じないか
判旨
上告棄却。
- 規範:家屋の所有権者たる賃貸人の地位と転借人の地位が同一人に帰した場合でも、当事者間に転貸借関係を消滅させる特別の合意が成立しない限り、転貸借関係は当然には消滅しない。
- 民法613条1項による転借人の賃貸人に対する直接の義務が混同により消滅するかどうかは「別論」とされた。つまり、直接の義務の消滅と転貸借関係の存続とは区別される。
- 訴訟法上の判断として、被告が占有の不法性を争っている場合、原審が不法占有でない事情として転借権を認定することは、当事者の具体的な事実主張の有無にかかわらず差し支えないとした。この点について原審に釈明義務もないとした。
- なお、混同に関する判示は「なお」書きの括弧内で示されたものである(大判昭和8年9月29日を参照)。
判決文から
「当事者間に転貸借関係を消滅させる特別の合意が成立しない限りは転貸借関係は当然には消滅しないものと解するを相当とする」
判旨の核心。特別の合意がなければ転貸借は存続する
「民法六一三条一項の規定による転借人の賃貸人に対する直接の義務が混同により消滅するは別論として」
直接の義務の混同と転貸借の存続とを区別している
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