吊橋爆破事件
腐朽した吊橋をダイナマイトで爆破した行為に補充性がなく、緊急避難も過剰避難も成立しないとした判例
出題:司法H24・司法R3・予備R3・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和34(あ)949 爆発物取締罰則違反、往来妨害
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第14巻1号61頁
- 参照法条
- 爆発物取締罰則1条,刑法37条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
過剰避難と認められない事例
裁判要旨
吊橋が腐朽甚しく、いつ落下するかも知れないような危険な状態にあつたとしても、ダイナマイトを使用してこれを爆破する行為については、緊急避難を認める余地なく、従つてまた過剰避難も成立しえない。
解説
事案
原審の認定によれば、本件吊橋は、夏から秋にかけて1日平均約20〜30人、冬から春にかけても1日平均2〜3人が利用していた。橋は腐朽が甚だしく、2、3度補強したにもかかわらず通行のたびに激しく揺れ、いつ落ちるか分からない状態にあった。被告人らは、昭和28年2月21日頃、ダイナマイトを使ってこの吊橋を爆破した。
被告人らは爆発物取締罰則違反・往来妨害で起訴された。原審(仙台高裁秋田支部)は次のように判断した。
- 通行者は刑法37条1項の「現在の危難」に直面していた。
- 被告人らの行為は危難を避けるためやむを得ずにした行為だが、その程度を超えていた。
そのうえで原審は過剰避難を認め、爆発物取締罰則の適用につき法律上の減軽と酌量減軽をして、懲役2年・執行猶予3年とした。検察官が上告した。
争点
- 腐朽した吊橋の動揺による危険が刑法37条1項の「現在の危難」に当たるか
- 吊橋をダイナマイトで爆破する行為が「やむを得ずにした行為」(補充性)に当たるか
- 補充性を欠く場合に過剰避難(刑法37条1項ただし書)が成立しうるか
判旨
原判決を破棄し、差し戻した(職権判断。刑訴法411条1号・3号)。
危難の現在性については、正面からは否定せず、疑問を示すにとどめた。記録上、吊橋は200〜300貫の荷馬車には危険だったが人の通行には差し支えなかった。荷馬車も、村当局の重量制限を破って時々通る者がいた程度だった。そこで、少なくとも犯行当時の冬期には、危険は原審認定ほど切迫していなかったのではないかとした。
補充性については、仮に切迫した危険があったとしても否定した。通行制限の強化など他の適当な手段・方法を講じる余地があり、ダイナマイトで爆破しなければ危険を防げなかったとは到底いえないからである。
規範:避難行為以外に危難を避ける適当な手段・方法があった場合は「やむを得ずにした行為」に当たらない。この場合、緊急避難を認める余地はなく、したがって過剰避難も成立しない。
判決文から
「その危険を防止するためには、通行制限の強化その他適当な手段、方法を講ずる余地のないことはなく、本件におけるようにダイナマイトを使用してこれを爆破しなければ右危険を防止しえないものであつたとは到底認められない。」
他の手段の存在を理由に補充性を否定した核心部分
「しからば被告人等の本件所為については、緊急避難を認める余地なく、従つてまた過剰避難も成立しえないものといわなければならない。」
補充性欠如なら過剰避難も否定されるとの結論
「本件吊橋の動揺による危険は、少くとも本件犯行当時たる昭和二八年二月二一日頃の冬期においては原審の認定する程に切迫したものではなかつたのではないかと考えちれる。」
現在の危難の認定にも疑問を示した部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
