最判昭和34年2月12日
登記名義しか持たない無権利者は民法177条の第三者に当たらない。真正所有者は名義人に直接、所有権移転登記を請求できる。
出題:司法H27・司法R8
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和32(オ)880 所有権確認並びに所有権移転登記履行請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第13巻2号91頁
- 参照法条
- 民法177条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 登記簿上所有名義を有するにすぎない者と民法第一七七条の第三者 二 真正な不動産所有者の登記簿上の所有名義人に対する所有権移転登記請求の許否
裁判要旨
一 不動産につき実質上所有権を有せず、登記簿上所有者として表示されているにすぎない者は、実体上の所有権を取得した者に対して、登記の欠缺を主張することはできない。 二 真正なる不動産の所有者は、所有権に基き、登記簿上の所有名義人に対し、所有権移転登記を請求することができる。
解説
事案
被上告人(控訴人)の祖父Dは、本件山林を上告人の先代Eに売り渡し、E名義への所有権移転登記がされた。しかし原審は、この売買は通謀虚偽表示で無効であり、これに基づく移転登記も無効であると確定した。上告人は、Eを相続してこの登記名義を承継した。
他方、Dの家督相続人Fは、被上告人が長女Gと婿養子縁組をすると同時に、本件山林を被上告人に贈与した。
被上告人は上告人に対し、所有権の確認と所有権移転登記手続を求め、原審(仙台高裁)はこれを認めた。上告人は次の点を主張して上告した。
- 自分は民法177条の第三者に当たり、被上告人は登記なしに対抗できない。
- 移転登記を命じる判決の主文に登記原因が示されていない。
- 占有の事情、信義則・権利濫用。
争点
- 実質上の所有権を持たず登記簿上の所有名義を有するにすぎない者が、実体上の所有者に対して登記の欠缺を主張できるか(民法177条の第三者該当性)
- 真正な所有者は、登記簿上の所有名義人に対し、抹消登記ではなく所有権移転登記を請求できるか
- 移転登記を命じる判決の主文に登記原因を示す必要があるか
判旨
上告棄却。
- 177条の第三者について:ある不動産について実質上の所有権を持たず、登記簿上所有者として表示されているにすぎない架空の権利者は、実体上の権利を取得した者に対し、登記の欠缺を主張できない。つまり無権利の登記名義人は、民法177条の「第三者」に当たらない。
- 移転登記請求について:登記簿上の所有名義人は、真正な所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を負う。したがって真正な所有者は、所有権に基づき、所有名義人に対して所有権移転登記を請求できる。
- 主文の登記原因について:移転登記を命じる判決の主文に、登記原因を示さなければならない理由はない。
- その他の上告理由(占有の事情、原審で主張していない信義則・権利濫用)も退けられた。
判決文から
「かようなある不動産につき実質上所有権を有せず登記簿上所有者として表示されているに過ぎない架空の権利者は、実体上の権利を取得した被上告人に対しては、その登記の欠缺を主張し得ないものである」
無権利の登記名義人は177条の第三者でないとした部分
「不動産の登記簿上の所有名義人は、真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は、所有権に基き所有名義人に対し所有権移転登記の請求をなしうるものであり」
移転登記請求の根拠(公示協力義務)を示した部分
「かかる移転登記を命ずる判決において判決主文に登記原因を示さなければならないとする理由も認められない」
主文に登記原因の表示は不要とした部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
