最判昭和33年9月30日
公務執行妨害罪は暴行・脅迫が職務執行の妨害となるべきものであれば成立し、1回の投石でも同罪の暴行に当たるとした判例
出題:司法H28・司法R7・予備H25
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和31(あ)2882 暴行
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第12巻13号3151頁
- 参照法条
- 刑法95条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 刑法第九五条の暴行、脅迫と結果発生の要否。 二 同条の暴行に該当する事例。
裁判要旨
一 刑法第九五条の公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するにあたりこれに対して暴行または脅迫を加えたときは直ちに成立するものであつて、その暴行または脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りる。 二 職務執行中の警察官に対する投石行為は、たとえそれが只一回であつても、同条の暴行に該当する。
解説
事案
日本共産党創立30周年記念文化祭の後、検挙者が出て群衆が喚声をあげ殺気立っていた。さらに集会散会後に無許可の示威行進が行われ、警察官の部隊が実力行使でこれを解散させた。その際、被告人3名は、検挙・警備に当たっていた警察官にそれぞれ投石した。
- 被告人Bの石:巡査Cの耳のあたりをかすめたが、身体には当たらなかった。
- 被告人Dの石:巡査Eの鉄兜に当たった。
- 被告人Fの石:巡査Gの臀部に当たった。
起訴罪名は刑法95条の公務執行妨害罪であった。しかし第一審は、各投石は1回の瞬間的な暴行にすぎず、公務執行の妨害となるべきものとはいえないとして、単純暴行罪(刑法208条)にとどめた。原審(大阪高裁)もこれを是認した。検察官が上告した。
争点
- 公務執行妨害罪(刑法95条1項)の成立に、現実の職務執行妨害の結果の発生が必要か
- 只1回の瞬間的な投石(命中しなかったものを含む)が、同罪の「暴行」に当たるか
判旨
破棄差戻し(職権破棄。刑訴法411条1号・3号)。
- 規範1(結果不要):公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行または脅迫を加えたときに直ちに成立する。その暴行・脅迫によって現実に職務執行妨害の結果が発生したことは必要でなく、妨害となるべきものであれば足りる。
- 規範2(投石の暴行該当性):投石行為は、相手に命中した場合はもちろん、命中しなかった場合でも、本件のような状況の下で行われたときは暴行に当たる。しかもそれは、経験則上、相手の行動の自由を阻害すべき性質のものである。
- あてはめ:本件の各投石は、警察官の職務執行の妨害となるべき性質のものであり、同罪の構成要件たる暴行に該当する。たとえ只1回の瞬間的なものでも、直ちに公務執行妨害罪が成立する。
- 原判決は刑法95条の解釈を誤ったものである。
判決文から
「公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するに当りこれに対して暴行又は脅迫を加えたときは直ちに成立するものであつて」
暴行・脅迫時点で直ちに成立する(抽象的危険犯)
「その暴行又は脅迫はこれにより現実に職務執行妨害の結果が発生したことを必要とするものではなく、妨害となるべきものであれば足りるものである。」
答案で使う規範部分。結果不要・妨害となるべきもので足る
「投石行為はそれが相手に命中した場合は勿論、命中しなかつた場合においても本件のような状況の下に行われたときは、暴行であることはいうまでもなく」
非命中の投石も暴行に当たる
「被告人等の各投石行為がたとえ只一回の瞬間的なものであつたとしても、かかる投石行為があつたときは、前説示のとおり、直ちに公務執行妨害罪の成立があるものといわなければならない。」
1回・瞬間的でも同罪成立とした結論部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
