帆足計事件
海外渡航の自由は憲法22条2項で保障されるが、旅券法13条1項5号による発給拒否は公共の福祉による合理的制限として合憲とした
出題:司法H25・司法H30・司法R2・司法R4・司法R6・予備H28・予備H30
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 昭和29(オ)898 損害賠償並びに慰藉料請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第12巻13号1969頁
- 参照法条
- 憲法22条,旅券法13条1項5号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 旅券法第一三条第一項第五号の合憲性。 二 旅券法第一三条第一項第五号により外務大臣のなした旅券発給拒否の処分が違法でないとされた事例。
裁判要旨
一 旅券法第一三条第一項第五号は、外国旅行の自由に対し、公共の福祉のため合理的な制限を定めたもので、憲法第二二条第二項に違反しない。 二 原審認定の事実関係(原判決参照)、特に占領治下我国の当面する国際情勢の下において、外務大臣が上告人らのモスコー国際経済会議への参加を旅券法第一三条第一項第五号にあたると判断してなした旅券発給拒否の処分は、違法とはいえない。
解説
事案
上告人らは、モスコー国際経済会議に参加するため旅券の発給を申請した。外務大臣は、旅券法13条1項5号(「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」)に当たるとして、発給を拒否した。当時の日本は占領下にあった。
上告人らは、この拒否処分が違法であるとして、国に損害賠償と慰謝料を請求した。原審(東京高裁)は、処分を違法とはいえないとした。さらに仮定的に、外務大臣の判断が誤りだったとしても国家賠償法1条1項の故意・過失はないと判示し、請求を退けた。
上告人らは上告した。主張の内容は次の2点である。
- 同号は漠然とした基準を定めるもので、憲法22条2項に違反し無効である。
- 仮に合憲でも、本件は同号に当たらない。同号は「明白かつ現在の危険」がある場合に限って適用されるべきである。
争点
- 外国へ一時旅行する自由(海外渡航の自由)の憲法上の根拠
- 旅券法13条1項5号は憲法22条2項に違反するか(基準が漠然としていて無効か)
- 同号の適用は「明白かつ現在の危険」がある場合に限られるか
- 本件の旅券発給拒否処分は違法か
判旨
上告棄却。
- 保障の根拠:憲法22条2項の「外国に移住する自由」には、外国へ一時旅行する自由も含まれる。
- 制約の可否:外国旅行の自由も無制限ではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服する。
- 法令の合憲性:旅券法13条1項5号は、外国旅行の自由に対する公共の福祉のための合理的な制限を定めたものとみることができる。漠然とした基準を示す無効な規定とはいえず、憲法22条2項に違反しない。
- 同号の解釈:将来、日本国の利益または公安を害する行為を行うおそれがある場合にも自由を制限する必要はありうる。したがって、同号の適用を「明白かつ現在の危険」がある場合に限る理由はない。
- 本件処分の適否:占領下の日本が直面していた国際情勢のもとでは、上告人らの会議参加が著しくかつ直接に日本国の利益または公安を害するおそれがあると判断した外務大臣の処分は、違法とはいえない。
判決文から
「憲法二二条二項の「外国に移住する自由」には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである。」
海外渡航の自由の根拠(22条2項)と制約の枠組み
「所論のごとく右規定が漠然たる基準を示す無効のものであるということはできない」
漠然性ゆえに無効という主張を退けた部分
「日本国の利益又は公安を害する行為を将来行う虞れある場合においても、なおかつその自由を制限する必要のある場合のありうることは明らかであるから、同条をことさら所論のごとく「明白かつ現在の危険がある」場合に限ると解すべき理由はない。」
明白かつ現在の危険の基準を採らなかった部分
「それらは一般的な自由または幸福追求の権利の一部分をなしている。本件の問題である旅行の自由のごときもその一なのである。」
補足意見が根拠を幸福追求権に求めた部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
