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最判昭和33年7月1日

強迫取消し(民法96条)には完全な選択の自由の喪失は不要で、畏怖による意思表示という主観的因果関係があれば足りる

民法意思表示本試験で 3 問(短答 3・論文 0)

出題:司法H23・司法H30・予備H26

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和31(オ)1100 不動産売買予約履行並びに不動産所有権移転登記請求
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第12巻11号1601頁
参照法条
民法96条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

強迫による意思表示と選択の自由。

裁判要旨

強迫による意思表示が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失つたことを要するものではない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

上告人らが被上告会社に対し、不動産売買予約の履行と所有権移転登記を求めた事件である。売買予約の際、Dが被上告会社の代表者を殴打した。上告人らはこの暴行を制止せず、かえってこれに勢いを得て、事態を売買目的の達成へと進めた。

原審(東京高裁)は、被上告会社の売買予約の意思表示を強迫による意思表示と認めた。

上告人は次の2点を主張して上告した。

  • 強迫の結果、表意者が選択の自由を失わない限り、強迫による意思表示とはいえない。
  • Dの殴打は売買予約の意思表示をさせる目的によるものではないから、強迫の故意を欠く。

争点

  • 民法96条の強迫による意思表示の成立に、表意者が畏怖の結果完全に選択(意思)の自由を失ったことを要するか
  • 強迫と意思表示との因果関係は客観的に要求されるか、主観的に存すれば足りるか
  • 他人の暴行を制止せずその結果を利用した者に、強迫行為と強迫の故意が認められるか

判旨

上告棄却。

規範:民法96条の強迫ないし畏怖については、次の2点があれば足りる。

  • 明示または暗黙に告知される害悪が客観的に重大か軽微かを問わず、これにより表意者が畏怖した事実があること
  • その畏怖の結果として意思表示をしたという関係が、主観的に存すること

強迫と意思表示との因果関係も主観的に存すれば足りる。表意者が完全に選択の自由を失ったことは要件ではない。完全に意思の自由を失った場合は、その意思表示はむしろ当然無効であり、96条の適用の余地はない。

あてはめ:上告人らはDの暴行を制止して代表者を救済することをせず、これに勢いを得て売買目的の達成に進めた。これは上告人ら自身が暴行の結果を維持・利用する強迫行為をしたものであり、故意にも欠けるところはない。

判決文から

「明示若しくは暗黙に告知せられる害悪が客観的に重大なると軽微なるとを問わず」

害悪の客観的重大性は不問

「苟くもこれにより表意者において畏怖した事実があり且右畏怖の結果意思表示をしたという関係が主観的に存すれば足りる」

畏怖と主観的因果関係で足りるという規範

「完全に意思の自由を失つた場合はむしろその意思表示は当然無効であり、民法九六条適用の余地はないのである。」

完全な意思喪失は取消しでなく当然無効

「上告人等自身右暴行の結果を維持利用する強迫行為をなしたものであり、その故意においても欠けるところがない」

他人の暴行の結果利用も自らの強迫行為

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。