最判昭和33年4月11日
内縁を婚姻に準ずる関係(準婚関係)と位置づけ、不当破棄に不法行為責任を認め、民法760条の準用を肯定した判例
出題:司法H23・司法H25・司法R8・予備H23
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和32(オ)21 慰藉料請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第12巻5号789頁
- 参照法条
- 民法709条,民法760条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 内縁不当破棄と不法行為の成否 二 内縁に民法第七六〇条の規定は準用されるか
裁判要旨
一 内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し不法行為を理由として損害の賠償を求めることができる 二 民法第七六〇条の規定は、内縁に準用されるものと解すべきである
解説
事案
当事者は内縁関係にあった。被上告人は昭和27年6月2日から上告人と別居し、昭和28年3月21日、内縁関係は上告人の一方的意思によって破棄された。被上告人は、別居時から同年3月31日までの間に、自己の医療費として合計21万4130円を支出した。
被上告人が慰藉料等を請求した。原審(名古屋高裁)は、上告人の行為が不法行為にあたると認めた。また、内縁関係が破棄されるまでの間に被上告人が支出した医療費のうち20万円を、上告人が分担すべきものと判断した。
上告人は次の点を争って上告した。
- 従来の判例は内縁の不当破棄を婚姻予約不履行の理論で処理してきたのに、原審が不法行為責任を認めたのは違法である。
- 医療費の分担を命じた判断には理由そごがある。
争点
- 内縁の不当破棄について、婚姻予約不履行責任のほかに不法行為責任(民法709条)が成立するか
- 婚姻費用の分担を定める民法760条は内縁に準用されるか(別居中に生じた医療費も分担の対象となるか)
判旨
上告棄却。
- 内縁の性質:内縁は届出を欠くため法律上の婚姻ではない。しかし、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合である点で婚姻と異ならず、婚姻に準ずる関係である。
- 不当破棄の責任:内縁は法律上保護されるべき生活関係である。正当の理由なく破棄された場合は、故意・過失による権利侵害として不法行為責任(民法709条)が成立する。
- 請求の構成:不当破棄された者は、婚姻予約の不履行を理由とする損害賠償も、不法行為を理由とする損害賠償も請求できる。
- 婚姻費用:内縁が婚姻に準ずる関係である以上、民法760条は内縁に準用される。別居中に生じた医療費であっても婚姻から生ずる費用に準じ、同条の趣旨に従って相手方が分担すべきである。分担額は当事者間の一切の事情を考慮して定める。
判決文から
「いわゆる内縁は、婚姻の届出を欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異るものではなく、これを婚姻に準ずる関係というを妨げない。」
準婚理論の核心。以下の結論すべての前提
「内縁が正当の理由なく破棄された場合には、故意又は過失により権利が侵害されたものとして、不法行為の責任を肯定することができるのである。」
不当破棄が709条の権利侵害にあたることを明示
「内縁を不当に破棄された者は、相手方に対し婚姻予約の不履行を理由として損害賠償を求めることができるとともに、不法行為を理由として損害賠償を求めることもできるものといわなければならない。」
婚姻予約構成と不法行為構成の併存を認めた部分
「民法七六〇条の規定は、内縁に準用されるものと解すべきであり」
婚姻費用分担規定の内縁への準用を肯定
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