偽装心中事件
追死の意思がないのに追死すると欺いて被害者を自殺させた行為は、自殺関与罪でなく殺人罪に当たるとした判例
出題:司法H27・司法R1・司法R2・司法R5・予備H25
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和31(あ)2220 殺人、業務上横領
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第12巻15号3519頁
- 参照法条
- 刑法202条,刑法199条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 被害者の意思の瑕疵と刑法第二〇二条の嘱託、承諾。 二 擬装心中は殺人罪にあたるか。
裁判要旨
一 被害者の意思が自由な真意に基かない場合は刑法第二〇二条にいう被殺者の嘱託または承諾としては認められない。 二 自己に追死の意思がないに拘らず被害者を殺害せんがため、これを欺罔し追死を誤信させて自殺させた所為は、通常の殺人罪に該当する。
解説
事案
被告人は、自分には心中する意思がないのに、あるように装った。被害者の女性は、被告人が追死してくれるものと誤信して心中を決意した。被告人は被害者に青化ソーダを与えて飲み込ませ、死亡させた。
原判決(大阪高裁)は、被害者の心中の決意と実行は正常な自由意思によるものではなく、全く被告人の欺罔に基づくものであり、被告人は被害者の命を断つ手段としてこの方法をとったにすぎないと判断した。そのうえで、自殺関与罪ではなく殺人罪の成立を認めた。
弁護人の上告理由は次のとおりである。
- 憲法38条3項違反
- 大審院判例違反:大審院判例の事案は真実自殺する意思のない者の自殺行為を利用した場合であるのに対し、本件被害者は死を認識・決意しており、錯誤は動機・縁由に関するものにすぎない。
- 法令解釈の誤り:被害者は自己の死そのものにつき誤認はなく、それを認識・承諾していた。したがって刑法上有効な承諾があり、刑法202条の罪にとどまる。
争点
- 欺罔による錯誤に基づく被害者の自殺の決意・承諾は、刑法202条にいう嘱託・承諾として有効か
- 追死の意思がないのに被害者を欺いて追死を誤信させ自殺させた擬装心中は、殺人罪(刑法199条)か自殺関与罪(刑法202条)か
判旨
上告棄却。殺人罪が成立する。
- 規範:被害者の意思に重大な瑕疵がある場合は、被害者の自由な真意に基づかないものとして、刑法202条にいう被殺者の嘱託・承諾とは認められない。瑕疵の原因が被害者の能力に関するものか、犯人の欺罔による錯誤に基づくものかは問わない。
- 当てはめ:被害者は被告人に欺かれ、その追死を予期して死を決意した。この決意は真意に添わない重大な瑕疵ある意思である。
- 結論:追死の意思がないのに被害者を欺いて追死を誤信させ自殺させた行為は、通常の殺人罪(刑法199条)に該当する。
判決文から
「要するに被害者の自由な真意に基かない場合は刑法二〇二条にいう被殺者の嘱託承諾としては認め得られない」
202条の嘱託・承諾の有効要件を示した規範部分
「本件被害者は被告人の欺罔の結果被告人の追死を予期して死を決意したものであり、その決意は真意に添わない重大な瑕疵ある意思であることが明らかである。」
追死の誤信を重大な瑕疵と評価した当てはめ
「被告人に追死の意思がないに拘らず被害者を欺罔し被告人の追死を誤信させて自殺させた被告入の所為は通常の殺人罪に該当するものというべく」
擬装心中は殺人罪という結論部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
