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最判昭和32年9月13日

2項強盗の成立に被害者の処分行為は不要とし、債権者殺害を図った債務免脱目的の暴行に強盗殺人未遂罪を認めた

刑法強盗罪窃盗罪詐欺・恐喝罪本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R1・予備H28

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
昭和31(あ)2368 強盗殺人未遂
裁判
判決・棄却
判例集
刑集 第11巻9号2263頁
参照法条
刑法236条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

刑法第二三六条第二項の強盗罪の成立

裁判要旨

犯人が債務の支払を免れる目的をもつて債権者に対しその反抗を抑圧すべき暴行、脅迫を加え、債権者をして支払の請求をしない旨を表示せしめて支払を免れた場合であると、右の手段により債権者をして事実上支払の請求をすることができない状態に陥らしめて支払を免れた場合であるとを問わずひとしく刑法第二三六条第二項の不法利得罪を構成するものと解すべきである。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は、信仰関係で知り合ったAから計11万円を借り受けた。あわせてAの他人に対する貸金の斡旋・取立ても委任されたが、受け取った金員をほとんど返済しなかった。Aから再三督促されると、預金が320万円位あるなどと虚言を弄していた。
昭和29年6月12日夜、Aから強く返済を迫られ、「もうこれ以上だますと警察や信者にばらす」と言われた。被告人は翌晩全部支払うと言い繕ったが、返済の手段はなかった。貸借には証書がなく内容も不分明で、Aが死亡すれば被告人以外に詳細を知る者がいない。そこで被告人は、Aを殺害して債務の履行を免れようと企てた。
翌13日夜、被告人は人家がなく人通りの稀な道路上で、Aの背後から薪様の兇器で頭部等を殴打した。Aは多数の裂創・挫創を負って人事不省に陥った。被告人はAが即死したと軽信して立ち去ったが、創傷は致命傷に至らなかった。原判決は強盗殺人未遂罪を認め、弁護人は大審院明治43年判決との判例違反等を主張して上告した。

争点

  • 刑法236条2項の強盗罪(不法利得罪)の成立に、被害者の意思による財産上の処分行為(作為・不作為)の強制が必要か
  • 債務の支払を免れる目的で債権者の殺害を図った行為が、強盗殺人(未遂)罪(刑法240条後段・243条・236条2項)を構成するか

判旨

上告棄却。2項強盗罪の成立に被害者の処分行為は不要とし、強盗殺人未遂罪の成立を認めた。
規範:236条2項の罪は、1項の罪と同じく、相手方の反抗を抑圧すべき暴行・脅迫の手段を用いて財産上不法の利益を得れば足りる。相手方の意思による処分行為を強制することは必要ない。
したがって、債務の支払を免れる目的で債権者に反抗抑圧に足る暴行・脅迫を加えた場合は、次のいずれでも等しく236条2項の不法利得罪を構成する。

  • 債権者に支払の請求をしない旨を表示させて支払を免れた場合
  • 債権者を事実上支払の請求ができない状態に陥らせて支払を免れた場合

これと異なる大審院明治43年6月17日判決は変更された。本件被告人の所為は、刑法240条後段・243条・236条2項に該当し、強盗殺人未遂罪となる。

判決文から

「右二三六条二項の罪は一項の罪と同じく処罰すべきものと規定され、一項の罪とは不法利得と財物強取とを異にする外、その構成要素に何らの差異がなく」

1項との構造的同一性という理由づけの核心

「一項の罪におけると同じく相手方の反抗を抑圧すべき暴行、脅迫の手段を用いて財産上不法利得するをもつて足り、必ずしも相手方の意思による処分行為を強制することを要するものではない。」

処分行為不要という規範そのもの

「債権者をして事実上支払の請求をすることができない状態に陥らしめて支払を免れた場合であるとを問わず、ひとしく右二三六条二項の不法利得罪を構成するものと解すべきである。」

事実上の請求不能状態でも2項強盗となる

「この意味において前示明治四三年判例は変更されるべきである」

処分行為必要説の大審院判例を変更

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。