最判昭和32年2月28日
控訴審で訴えが交換的に変更されたときは新請求について第一審として判決すべきであり、旧訴の係属は取下げか放棄がなければ消滅しない
出題:予備R3・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和29(オ)444 貸金請求
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第11巻2号374頁
- 参照法条
- 民訴法232条,民訴法384条,民訴法236条,民訴法203条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 控訴審において訴が変更された場合と新訴に対する主文の判示方法 二 訴の変更と旧訴
裁判要旨
一 控訴審において訴の変更による新訴が係属した場合、新訴については、控訴裁判所は、事実上第一審としての裁判をすべきであり、たとえ新訴に対する結論が旧訴に対する第一審判決の主文の文言と合致する場合であつても、控訴棄却の裁判をすべきではない。 二 訴の変更による新訴の提起があつても、旧訴につき適法な訴の取下または請求の放棄がない限り旧訴の係属は消滅しない。
解説
事案
原告X(被上告人)は、滞納処分として差し押さえた訴外DのY(上告人)に対する貸金債権につき、国税徴収法23条の1に基づきDに代位して713,626円の支払を求めた。第一審はこの貸金債権の存在を認め、Xを勝訴させた。
Yが控訴したところ、Xは控訴審で訴えを変更した。別に差し押さえたDのYに対する求償債権(DがYの銀行借入債務を保証人として弁済したことによる求償権の残額)について、Dに代位して同額の支払を求める新請求を立て、第一審で認容された貸金請求の主張は撤回すると陳述したのである。Yは訴えの変更に異議を述べた。
原審は訴えの変更を許し、求償債権に基づく請求を認容すべきと判示したうえで、主文では直ちに控訴棄却とした。Yが上告した。
争点
- 控訴審で訴えの変更により新請求が係属し、これを認容する場合、主文で控訴棄却としてよいか(旧民訴384条、現302条)
- 訴えの変更(交換的変更)が許されれば、それだけで旧訴の訴訟係属は消滅するか
判旨
原判決を破棄し、自判した(Yに713,626円の支払を命じた)。
- 主文の判示方法:控訴審で訴えの変更による新訴が係属した場合、新訴についての裁判は実質上初審としての裁判である。したがって、控訴裁判所は新請求について第一審として判決すべきであり、新訴に対する結論が第一審判決の主文の文言と合致するときでも、控訴棄却の裁判をしてはならない。旧民訴384条2項(現302条2項)の「他の理由により正当」は、判断対象が同一である場合に限られる。
- 旧訴の係属:訴えの変更が許されるというだけでは、旧訴の訴訟係属は当然には消滅しない。原告が旧訴の係属を消滅させるには、適法な訴えの取下げ(被告が応訴した後は被告の同意が必要。旧236条2項、現261条2項)か請求の放棄(調書記載。旧203条、現266条・267条)が必要である。この理は交換的変更の場合も同じである。
判決文から
「それは実質上初審としてなす裁判に外ならないのであるから第一審判決の当否、従つて本件控訴の理由の有無を解決するものではない。」
新請求の判断は控訴の当否と無関係という核心
「本件のように第一審判決と第二審判決とがその判断の対象を異にし偶々その主文の文言が同一に帰するというが如き場合をも包含するものでない」
302条2項の適用範囲の限定
「訴の変更そのものが許さるべきものであるというだけでは、これによつて当然に旧訴の訴訟繋属が消滅するものではない。」
変更の許否と旧訴係属の消滅を切り離す
「もし原告がその一方的意思に基づいて旧訴の訴訟繋属を消滅せしめんとするならば、法律の定めるところに従いその取下をなすか、或はその請求の拠棄をしなければならない。」
旧訴を消滅させる手段は取下げ・放棄に限る
「原告が交替的に訴の変更をなし、旧訴に替え新訴のみの審理を求めんとする場合においてもその理を一にするものといわなければならない。」
交換的変更にも取下げ・放棄の要件が及ぶ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
