最判昭和32年1月22日
喧嘩闘争は全般的に観察すべきだが、喧嘩でも正当防衛(過剰防衛)が成立する余地があるとして、原判決を破棄した判例
出題:司法H22・司法R1・予備H24
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和29(あ)1808 殺人
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第11巻1号31頁
- 参照法条
- 刑法36条,刑法199条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
喧嘩と正当防衛
裁判要旨
喧嘩闘争において正当防衛が成立するかどうかを判断するに当つては喧嘩闘争を全般的に観察することを要し、闘争行為中の瞬間的な部分の攻防の態様のみによつてはならない。
解説
事案
被害者Aは遊人であり、配下とともに、被告人の主筋に当たるBやBの組織するE会に敵意を抱いていた。A側はB一派に挑戦的な態度をとり、A又はその配下がE会会員Cに暴行を加えた。さらにAらは刺身包丁を携えて会員D方に押し掛け、Dを殴打するなど、A一派による一方的な攻撃が続いていた。
被告人らはDの救援に赴いた。終局段階では、Aが被告人を蹴り、被告人がAの臀部を刺した。その後Aが被告人を追跡し、被告人がAを刺殺した。
原審(福岡高裁)は控訴趣意を容れて一審判決を破棄した。その理由は次のとおりである。
- 被告人らはAとの喧嘩闘争を当然予期していた。
- 「動機の曲直は何れの側にあるかは暫らく措き」、蹴りと臀部への刺突によって喧嘩闘争はすでに始まっていた。
- Aの追跡と刺殺はその延長であり、喧嘩闘争の一駒にすぎないから、正当防衛の観念を容れる余地はない。
原審は過剰防衛には触れなかった。被告人側が上告した。
争点
- 喧嘩闘争の過程での反撃行為に、刑法36条の正当防衛(過剰防衛)が成立する余地があるか
- 喧嘩闘争における正当防衛の成否は、どのような観察方法で判断すべきか
判旨
原判決破棄、福岡高裁へ差戻し。
規範:喧嘩闘争と正当防衛の関係は、次の両面から判断する。
- 喧嘩闘争は全般的に観察しなければならず、闘争行為中の瞬間的な部分の攻防の態様だけで判断してはならない。
- 喧嘩闘争であっても、なお正当防衛が成立する場合がありうる。
あてはめ:原審は、特定の段階で喧嘩闘争が成立したと認定し、喧嘩闘争であることを理由に正当防衛の観念を容れる余地がないとした。その結果、過剰防衛にも触れなかった。これは、一場面だけを見て闘争の全般を観察しなかったか、喧嘩闘争には常に正当防衛の余地がないという前提に立ったかのいずれかであり、どちらにしても大法廷判例の趣旨に反する。
この判断は、少なくとも過剰防衛の有無や量刑に影響するから、判決に影響を及ぼすことが明らかである。
判決文から
「まず喧嘩斗争はこれを全般的に観察することを要し、斗争行為中の瞬間的な部分の攻防の態様によつて事を判断してはならないということと、喧嘩斗争においてもなお正当防衛が成立する場合があり得るという両面を含むものと解することができる。」
全般的観察と正当防衛成立の余地という二面の規範
「ひつきよう喧嘩斗争を認めるにつき一場面をのみ見て斗争の全般を観察しなかつたか、または喧嘩斗争には、常に全く正常防衛の観念を容れる余地はないとの前提にたつたか」
原審の誤りの内容(判例違反の理由)
「本件につき少くとも過剰防衛の有無ないし量刑についても影響あること論をまたないところであつて」
過剰防衛の検討を怠った点も破棄理由となる
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
