川崎駅前非番警察官強盗殺人事件
私利目的でも、客観的に職務執行の外形を備える行為なら国賠法1条の「職務を行うについて」に当たるとした(外形標準説)。
出題:予備H30・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和29(オ)774 損害賠償請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第10巻11号1502頁
- 参照法条
- 国家賠償法1条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
国家賠償法第一条にいう公務員が職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合にあたるものとされた事例。
裁判要旨
巡査が、もつぱら自己の利をはかる目的で、制服着用の上、警察官の職務執行をよそおい、被害者に対し不審尋問の上、犯罪の証拠物名義でその所持品を預り、しかも連行の途中、これを不法に領得するため所持の拳銃で同人を射殺したときは、国家賠償法第一条にいう、公務員がその職務を行うについて違法に他人に損害を加えた場合にあたるものと解すべきである。
解説
事案
D巡査は、もっぱら自己の利益を図る目的で、制服を着用し、警察官の職務執行を装って被害者に不審尋問をした。そのうえで、犯罪の証拠物という名目で被害者の所持品を預かり、連行の途中、その所持品を不法に自分のものにするため、所持していた拳銃で被害者を射殺して目的を遂げた。
これについて損害賠償が請求された。原審(東京高裁)は、国家賠償法1条の職務執行とは、公務員の意図目的にかかわらず、行為の外形において職務執行と認められるものをいうと解した。公務員が主観的に権限行使の意思をもってした場合に限るという解釈は退けた。そのうえで、本件の職権濫用行為は同条にいう「職務を行うについて」違法に他人に損害を加えた場合に当たると判断した。
上告人は、この国家賠償法1条の解釈を争って上告した。
争点
- 国家賠償法1条1項の「その職務を行うについて」は、公務員が主観的に権限行使の意思をもってした場合に限られるか
- もっぱら私利を図る目的で職務執行を装った加害行為に、国家賠償法1条が適用されるか
判旨
上告棄却。巡査の行為は、国家賠償法1条1項にいう「公務員が、その職務を行うについて」違法に他人に損害を加えた場合に当たる。
規範:国家賠償法1条1項は、次のような場合に国又は公共団体に賠償責任を負わせ、広く国民の権益を擁護することを立法趣旨とする。
- 公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合に限らない。
- 自己の利を図る意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形を備える行為をし、これによって他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体が責任を負う。
したがって「職務を行うについて」の該当性は、公務員の主観的意図ではなく、行為の客観的外形によって判断する(外形標準説)。
あてはめ:本件の行為には、制服着用、職務執行を装った不審尋問、証拠物名義での所持品の預かり、連行という事情がある。これは私利目的の職権濫用であっても、職務執行の外形を備える。
判決文から
「同条は公務員が主観的に権限行使の意思をもつてする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもつてする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによつて、他人に損害を加えた場合には」
外形標準説の規範部分。答案に書く核心
「国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもつて、その立法の趣旨とするものと解すべきである」
外形標準説の根拠となる立法趣旨
「その公務員が、その所為に出づる意図目的はともあれ、行為の外形において、職務執行と認め得べきものをもつて、この場合の職務執行なりとするのほかないのである」
最高裁が正当とした原判決の判断枠組み
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
