最判昭和30年4月19日
国家賠償法1条の責任は国・公共団体が負い、公務員は行政機関としても個人としても被害者に直接責任を負わない。
出題:司法H23・司法H27・予備H29・予備H30・予備R2・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和28(オ)625 農地委員会解散命令無効確認並に慰藉料請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第9巻5号534頁
- 参照法条
- 国家賠償法1条,民法709条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
国家賠償と賠償責任の負担者
裁判要旨
公権力の行使に当る公務員の職務行為に基く損害については、国または公共団体が賠償の責に任じ、職務の執行に当つた公務員は、行政機関としての地位においても、個人としても、被害者に対しその責任を負担するものではない。
解説
事案
熊本県知事は、昭和21年11月15日、農地調整法に基づく熊本県球磨郡D農地委員会を解散する処分をした。上告人らはこれを争い、次の2つを求めて訴えを提起した。
- 解散処分の無効確認
- 被上告人らの職務行為により名誉を毀損されたとする損害賠償(慰藉料)
損害賠償請求の相手方は、県知事(機関としての知事)、県知事個人、農地部長個人であった。
農地委員会は、その後の農業委員会法(昭和26年法律第88号)の施行で廃止され、市町村では昭和26年7月20日の選挙で農業委員会が成立すると同時に消滅した。
原審(福岡高裁)は上告人らの請求を退け、上告人らが上告した。上告理由では、農地調整法施行令28条の4の違憲・違法も主張された。
争点
- 公権力の行使に当たる公務員の職務行為による損害について、誰が賠償責任を負うか(国家賠償法1条1項)
- 職務を執行した公務員が、行政機関としての地位で、または個人として、被害者に直接賠償責任を負うか
- 消滅した農地委員会の解散処分について、無効確認を求める訴えの利益があるか
判旨
上告棄却。
規範
- 公権力の行使に当たる公務員の職務行為に基づく損害については、国または公共団体が賠償責任を負う(国家賠償法1条1項)。
- 職務の執行に当たった公務員は、行政機関としての地位においても、個人としても、被害者に対して責任を負わない。
あてはめ
- 本件の損害賠償請求は、被上告人らの職務行為を理由とする国家賠償請求と解すべきである。
- したがって、県知事(機関)を相手方とする訴えは不適法である。
- 県知事個人・農地部長個人に対する請求は理由がない。
- そもそも原審認定の事情の下では、被上告人らの行為が上告人らの名誉を毀損したとも認められない。
無効確認請求について(職権判断)
農地委員会は法改正で消滅したから、解散処分の無効確認を求める利益はない。
判決文から
「国または公共団体が賠償の責に任ずるのであつて、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではなく、また公務員個人もその責任を負うものではない。」
公務員の機関責任・個人責任をともに否定した核心部分
「従つて県知事を相手方とする訴は不適法であり、また県知事個人、農地部長個人を相手方とする請求は理由がないことに帰する。」
機関相手は不適法、個人相手は理由なしと処理を区別
「上告人等は、本件農地委員会についてもはや本訴により解散処分の無効確認の判決を求める利益を有しないのである。」
委員会消滅による訴えの利益の喪失
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
