最判昭和28年9月25日
無断転貸等があっても、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があれば民法612条2項の解除権は発生しないとした判例
出題:司法H29・司法H30・予備H27
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和25(オ)140 建物収去土地明渡請求
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第7巻9号979頁
- 参照法条
- 民法612條
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用させたときは賃貸人は常に契約を解除しうるか
裁判要旨
賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用または収益をなさしめた場合でも、賃借人の当該行為を賃貸人に対する背信的行為と認めるにたらない本件の如き特段の事情があるときは、賃貸人は民法第六一二条第二項により契約を解除することはできない。(少数意見および補足意見がある。)
解説
事案
Eは所有する宅地を建物所有目的でB1に賃貸し、B1は地上に倉庫2棟を所有していた。そのうち1棟(甲地上)はD(B2の父)に賃貸していた。昭和20年、倉庫2棟は戦災で焼失した。Xは宅地をEから買い受け、賃貸人の地位を承継した。
Dは罹災都市借地借家臨時処理法3条に基づき、焼失倉庫の敷地(甲地)について借地権の譲渡を申し出て、B1の承諾を得て借地権を取得した。その際Dは、B1の同一借地上で同じ坪数の範囲内なら別の場所に建ててもよいと信じた。B1も同じ見解でこれを容認し、Dは甲地に隣接する係争地(乙地)にまたがって約20坪の建物を建築した。建築許可申請の便宜上、名義はB2を使った。
Xは、B1・B2を相手に建物収去土地明渡しを求めた。控訴審で請求原因を変更し、無断転貸禁止特約違反と民法612条に基づく解除を主張した。原審はX敗訴とし、Xが上告した。
争点
- 賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に賃借物を使用収益させた場合、賃貸人は常に民法612条2項により契約を解除できるか
- 本件のB1の行為は、賃貸借関係の継続に堪えない背信的行為に当たるか
- 建築名義を貸したにすぎないB2に対する、不法占有を理由とする建物収去土地明渡請求の可否
判旨
上告棄却。
- 規範:民法612条は、賃貸借が当事者の個人的信頼を基礎とする継続的法律関係であることから、無断で第三者に使用収益させたことを「賃貸借関係を継続するに堪えない背信的所為」とみて、賃貸人に解除権を与えた規定である。したがって、無断転貸・無断譲渡があっても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情がある場合には、同条の解除権は発生しない。
- あてはめ:B1がDに乙地の使用を許した経緯(処理法に基づく借地権譲渡に伴い、同一借地内なら場所を移してよいと誤信したこと)からすれば、著しい背信的行為とはいえない。よってXの解除は無効である。
- B2に対する請求:乙地を占有するのはDであり、B2は名義を貸したにすぎない。したがって、不法占有を理由とするB2への請求は棄却を免れない。
判決文から
「賃借人が賃貸人の承諾なく第三者をして賃借物の使用収益を為さしめた場合においても、賃借人の当該行為が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足らない特段の事情がある場合においては、同条の解除権は発生しないものと解するを相当とする。」
答案にそのまま書ける規範部分
「賃貸借が当事者の個人的信頼を基礎とする継続的法律関係であることにかんがみ」
612条の趣旨=信頼関係が規範の根拠
「賃貸借関係を継続するに堪えない背信的所為があつたものとして、賃貸人において一方的に賃貸借関係を終止せしめ得ることを規定したものと解すべきである。」
解除権の根拠を背信性に求める点
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
