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メタノール事件

最判昭和28年1月23日

飲食店の共同経営者が意思を連絡して過失によりメタノール含有液体を販売した場合、過失犯の共同正犯を認めた。

刑法過失共同正犯教唆・幇助・共犯の諸問題本試験で 8 問(短答 8・論文 0)

出題:司法H25・司法H29・司法R3・司法R8・予備H29・予備R3・予備R6

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
昭和25(れ)1688 有毒飲食物等取締令違反
裁判
判決・棄却
判例集
刑集 第7巻1号30頁
参照法条
有毒飲食物等取締令4条1項,有毒飲食物等取締令1条1項,刑法60条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

過失により有毒飲食物等取締令第一条第一項に違反した罪と共同正犯

裁判要旨

甲乙両名がその共同経営にかかる飲食店で、過失により法定の除外量以上の「メタノール」を含有する飲食物を客に販売した場合において、右両名が意思を連絡して右飲食物を販売したものと認められるときは、有毒飲食物等取締令第四条第一項後段の罪の共同正犯が成立する。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人両名は飲食店を共同で経営していた。両名は、飲食店Cから仕入れた「ウイスキー」と称する液体について、メタノールを含んでいるおそれがあった。そのため、十分に検査して含有しないことを確かめてから客に販売すべきであった。ところが両名は何の検査もせず、法定の除外量以上のメタノールは含まれていないと軽く信じ、意思を連絡してその液体を客に販売した。

原判決は、これを有毒飲食物等取締令4条1項後段の「過失ニ因リ違反シタル」罪にあたるとし、刑法60条を適用して共同正犯とした。弁護人は上告し、過失犯に刑法60条を適用したのは違法であると主張した(上告趣意第二点)。

争点

  • 過失犯(有毒飲食物等取締令4条1項後段の過失による違反罪)について共同正犯(刑法60条)が成立するか
  • 共同経営者が意思を連絡して不注意に有毒飲食物を販売した場合に、共犯関係を認めることができるか

判旨

上告棄却。過失犯についても共同正犯の成立を肯定した。

  • 出所の不確かな液体を客に販売するには、メタノールを含むか否かを十分に検査してから販売する義務がある。被告人らはいずれもこの義務を怠り、検査をしないまま販売した。これは取締令4条1項後段の「過失ニ因リ違反シタル」場合にあたる。
  • 飲食店は被告人両名の共同経営にかかるものであり、液体の販売についても両名は意思を連絡して販売した。したがって、この点で両名の間に共犯関係の成立を認めるのが相当である。原判決が刑法60条を適用したのは正当である。

規範(答案用):共同の業務を営む者らが、各自に課された注意義務を怠り、意思を連絡して危険な行為を共同して行った場合には、過失犯についても刑法60条の共同正犯が成立しうる。

判決文から

「出所の不確かな液体を客に販売するには「メタノール」を含有するか否かを十分に検査した上で、販売しなければならない義務のある」

各被告人に課された注意義務の内容

「右飲食店は、被告人両名の共同経営にかかるものであり、右の液体の販売についても、被告人等は、その意思を連絡して販売をしたというのであるから、此点において被告人両名の間に共犯関係の成立を認めるのを相当とする」

共同経営と意思連絡を根拠に過失共同正犯を肯定

「私は過失犯には共同正犯を認むべきものではないと信ずるから、本件に刑法六〇条を適用した原判決は失当であり」

小谷裁判官の否定説(少数意見)

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。