SaySayLaw

最判昭和28年1月22日

不法原因給付の後に当事者が合意で返還を約した特約は有効であり、その履行のための手形金請求に民法708条は適用されない。

民法事務管理・不当利得本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法H23・司法R1

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和24(オ)179 約束手形金請求
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第7巻1号56頁
参照法条
民法90条,民法708条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 不法原因給付の返還の特約の効力 二 不法原因給付の返還の特約に基く返還義務の履行のため振り出された手形の請求と民法第七〇八条

裁判要旨

一 不法原因給付の返還の特約は、有効である 二 不法原因給付の返還の特約に基く返還義務の履行のため振り出された手形の請求には、民法七〇八条は適用がない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被上告人(給付者)は上告人(受領者)に金8万4千円を交付した。この交付は物資買入に関するもので、その物資買入は食糧管理法に違反する不法なものである疑いがあった。その後、当事者間でこの給付を返還する特約がされ、上告人は特約に基づく返還義務を履行するために約束手形を振り出した。被上告人はこの手形の金額の支払を求めて提訴した(約束手形金請求)。

上告人は、交付金が不法原因給付であるから民法708条により返還を請求できないと抗弁した。原審(大阪高裁)は、同条は給付者が自ら原因の不法を主張して返還を請求する場合にだけ適用されるとして、この抗弁を退けた。上告人が上告した。

争点

  • 不法原因給付の後に、受領者が給付者に給付物を返還する旨の特約をすることは有効か(民法708条・90条との関係)
  • その返還特約に基づく返還義務の履行のために振り出された手形の請求に、民法708条は適用されるか

判旨

上告棄却(全員一致)。

  • 不法原因給付の返還の特約は有効である。 受領者は給付物を任意に返還してよいし、不法原因契約を合意で解除して給付を返還する特約をすることも、民法708条の禁じるところではない。
  • その特約は民法90条によって無効にもならない。
  • したがって、返還特約に基づく返還義務の履行のために振り出された手形の請求には、民法708条は適用されない。
  • 原審は、708条が給付者自ら不法を主張して返還を請求する場合にだけ適用されるかのように述べた。最高裁はこの説示を「狭きに失し当を得ない」としたが、返還特約を認めて上告人の抗弁を退けた結論は正当とした。

答案用の規範:「708条は給付者の返還請求に法的保護を与えないにとどまり、受領者に給付物の保持を正当化する趣旨ではない。よって、事後の合意による返還特約は有効であり、これに基づく請求に708条は適用されない」。

判決文から

「かかる給付者の返還請求に法律上の保護を与えないというだけであつて、受領者をしてその給付を受けたものを法律上正当の原因があつたものとして保留せしめる趣旨ではない。」

708条の趣旨を限定的に捉える核心部分

「曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。」

返還特約が708条に反しないとする規範

「かゝる特約が民法九〇条により無效であると解することのできないことも多言を要しない。」

返還特約は公序良俗違反でないとの判断

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。