最判昭和27年9月19日
刑法65条の「身分」とは犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位・状態をいい、横領罪の「占有」もこれに当たるとした判例
出題:司法H22・司法R1・司法R8
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和27(れ)103 恐喝未遂、横領
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第6巻8号1083頁
- 参照法条
- 刑法65条,刑法252条,刑法253条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 刑法第六五条にいわゆる「身分」の意義 二 横領の目的物を犯人が占有する状態は右にいわゆる「身分」にあたるか
裁判要旨
刑法第六五条にいわゆる身分は、男女の性別、内外人の別、親族の関係、公務員たるの資格のような関係のみに限らず、総て一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態を指称するものであつて、刑法二五二条においては、横領罪の目的物に対する犯人の関係が占有という特殊の状態にあることが刑法六五条にいわゆる身分に該るものと云わなければならない。
解説
事案
被告人は恐喝未遂と横領の罪で起訴され、原審(名古屋高裁)で有罪とされた。横領の事実は、被告人らが使途を定めて寄託された金員を、委託の趣旨に反して料理代の支払に充てたというもので、原判決は600円全額について横領罪の成立を認めた。原判示第三(イ)(ロ)の事実のうち(ロ)は、原審相被告人Aが単独で行った横領であり、被告人は関与していない。
弁護人は5点の上告趣意を立てた。主なものは次の2点である。
- 第一点:刑法65条の適用に関して、横領罪の目的物を占有するという状態は同条の「身分」に当たらない。
- 第三点:600円全額について横領罪を認めたのは違法である。
最高裁はいずれも退け、上告を棄却した。
争点
- 刑法65条にいう「身分」の意義
- 横領罪(刑法252条)の目的物を犯人が占有している状態は、刑法65条の「身分」に当たるか
- 使途を定めて寄託された金銭を、受託者が委託の本旨に反して処分した場合に横領罪が成立するか
判旨
結論:上告棄却。横領罪における目的物の占有は、刑法65条にいう身分に当たる。
規範
- 刑法65条の「身分」は、男女の性別、内外国人の別、親族の関係、公務員たる資格のような関係に限られない。一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位または状態をすべて含む。
- 刑法252条では、犯人が物の占有者という特殊の地位にあることが犯罪の条件となっている。したがって占有は65条の身分に当たる。
付随的判示
- 使途を定めて寄託された金銭を、受託者がほしいままに委託の本旨に反して処分すれば横領罪が成立する。
- 本件で寄託金を料理代の支払に充てた行為について、600円全額で横領罪を認めた原判決に違法はない。
判決文から
「刑法六五条にいわゆる身分は、男女の性別内外国人の別、親族の関係、公務員たるの資格のような関係のみに限らず、総て一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位又は状態を指称するものであつて」
65条の「身分」の定義。答案でそのまま使える規範
「横領罪の目的物に対する犯人の関係が占有という特殊の状態にあること、即ち犯人が物の占有者である特殊の地位にあることが犯罪の条件をなすものであつて、刑法六五条にいわゆる身分に該るものと云わなければならない」
横領罪の占有を65条の身分と認めた当てはめ部分
「使途を定めて寄託された金銭について、受託者が擅に委託の本旨に違つた処分をすれば横領罪の成立することは判例の認めるところ」
使途を定めた寄託金の流用が横領になることの確認
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
