最判昭和25年12月14日
毀損しなければ取り外せない状態にない畳・布団は建造物の一部でなく、それらの焼燬にとどまれば現住建造物放火は未遂である。
出題:司法H24・司法H25・司法H28・司法R4・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和25(れ)1403 強盗殺人、住居侵入
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 刑集 第4巻12号2548頁
- 参照法条
- 刑法108条,刑法112条,刑法240条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 疊建具と刑法第一〇八条にいわゆる「建造物」放火未遂罪の成立 二 強盗の機会に人を殺害した所為と強盗殺人罪の成立
裁判要旨
一 疊建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とするものである。従つて、判示布団は勿論判示疊のごときは未だ家屋と一体となつてこれを構成する建造物の一部といえないこと多言を要しないから、原判決の前示判示は、建造物の放火既遂の犯罪事実を認定判示したものではなく、その放火未遂の認定判示であるといわなければならない。 二 強盗の機会に人を殺害すれば、刑法第二四〇条後段の「強盗人ヲ死ニ致シタルトキ」にあたる。
解説
事案
被告人は、A方の家屋(茶の間)に侵入し、Dと、その傍らに寝ていた長男E・長女Fの三名を窒息させたうえ咽喉を切って殺害し、衣類等を強取した。さらに犯跡を隠すため、二児の寝ていた布団の中に焚付薪を差し入れ、燐寸の軸木を添えて順次燃え広がる仕掛けを作り、その一端に点火した。これにより、布団三枚と、その下に敷いてあった畳約30cm平方・深さ約1.5cmが焼燬された。
原判決(札幌高裁)は、これを「現に右Aの住居に使用する家屋に放火し」たと認定し、刑法108条のみを適用した。弁護人は、放火の点の認定・法令適用と、D以外の二児の殺害にまで刑法240条後段を適用した点などを争って上告した。
争点
- 畳・布団など家屋の従物が、刑法108条の「建造物」の一部を構成するのはどのような場合か
- 布団と畳の一部が焼燬されたにとどまる場合、現住建造物等放火罪は既遂か未遂か
- 強盗殺人罪(刑法240条後段)の成立に、殺人が強盗の手段であることを要するか
判旨
破棄自判(死刑)。
- 建造物の一部性:建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するといえるには、その物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りない。さらに、毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを要する。
- 本件へのあてはめ:布団はもちろん、畳も家屋と一体となって建造物を構成する一部とはいえない。したがって、布団と畳の一部を焼燬した事実は放火既遂ではなく、現住建造物放火未遂(刑法112条・108条)にあたる。112条を適用しなかった原判決には法律上の理由不備の違法がある。
- 強盗殺人:強盗殺人罪は、殺人を強盗の手段に利用することを必ずしも要せず、強盗の機会に人を殺害すれば足りる(刑法240条後段)。
判決文から
「建具その他家屋の従物が建造物たる家屋の一部を構成するものと認めるには、該物件が家屋の一部に建付けられているだけでは足りず更らにこれを毀損しなければ取り外すことができない状態にあることを必要とするものである。」
建造物の一部性の判断基準(毀損しなければ取り外せないか)
「判示布団は勿論判示畳のごときは未だ家屋と一体となつてこれを構成する建造物の一部といえないこと多言を要しないから」
畳は建造物の一部ではないとのあてはめ
「強盗殺人罪は、必ずしも殺人を強盗の手段に利用することを要するものではなく、強盗の機会に人を殺害するを以て足りるものであつて」
240条後段の成立範囲(強盗の機会)
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
