最判昭和24年7月9日
窃盗未遂犯人の事後強盗(準強盗)は、事後強盗の未遂として刑法243条を適用すべきだとした判例
出題:司法H23・司法H25・司法H26・司法H29・予備H23・予備H29
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和24(れ)121 準強盗、窃盗
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 刑集 第3巻8号1188頁
- 参照法条
- 刑法238條,刑法243條
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
窃盜未遂犯人による準強盜行爲を準強盜の既遂をもつて問擬した擬律錯誤の違法と刑法第二四三條
裁判要旨
原判示二の事實につき、原判決の確定したるところは、窃盜は未遂(障碍未遂)に終つたものであること明らかである。しからば、窃盜未遂犯人による準強盜行爲の場合は、準強盜の未遂を以つて問擬すべきものであることは當然であるにかかわらず、原審はその擬律において刑法第二三八條同第二三六條を適用し、以つて準強盜の既遂をもつて問擬したのは違法である、けだし窃盜未遂犯人による準強盜は、財物を得なかつた點において、恰かも強盜の未遂と同一の犯罪態様を有するに過ぎないものである。しからば、強盜未遂の場合には刑法第二四三條の適用があるにかかわらず、これと同一態様の窃盜未遂の準強盜を強盜の既遂をもつて論ずるときは、右刑法第二四三條の適用は排除せられることとなり彼此極めて不合理の結果を生ずるに至るからである。したがつて、論旨は正に理由あり、原判決はこの點において破毀を免がれない。
解説
事案
被告人は他の者と共同して窃盗に及んだ(原判示一)。さらに別の機会に窃盗に着手したが、障碍未遂に終わった。その窃盗未遂犯人として、刑法238条に当たる準強盗(事後強盗)の行為に及んだ(原判示二)。
原審(大阪高裁)は、原判示二について刑法238条・236条を適用し、準強盗の既遂として処断した。
弁護人は上告し、窃盗が未遂に終わった以上、準強盗も未遂として扱うべきだと主張した(上告趣意第一点)。
争点
- 窃盗未遂犯人が刑法238条の行為に及んだ場合、事後強盗罪(準強盗罪)は既遂か未遂か
- 事後強盗罪に刑法243条(未遂罪)の適用があるか
判旨
結論:原判決を破棄して自判した。原判示二の事実を準強盗未遂(刑法238条・236条・243条・60条)とし、刑法43条本文・68条3号で減軽して、被告人を懲役4年に処した。
規範:
- 窃盗が未遂に終わった犯人による準強盗行為は、準強盗(事後強盗)の未遂として処断すべきである。
- これを準強盗の既遂として刑法238条・236条のみを適用するのは擬律錯誤の違法である。
答案での書き方:事後強盗罪の既遂・未遂は、先行する窃盗の既遂・未遂によって決する(窃盗が未遂なら事後強盗も未遂となり、刑法243条が適用される)。
なお、この違法は事実の確定に影響しない擬律錯誤であるため、最高裁が自ら判決した。
判決文から
「窃盗未遂犯人による準強盗行為の場合は、準強盗の未遂を以つて問擬すべきものであることは当然である」
結論部分。窃盗未遂なら事後強盗も未遂
「窃盗未遂犯人による準強盗は、財物を得なかつた点において、恰かも強盗の未遂と同一の犯罪態様を有するに過ぎないものである。」
財物不取得の点で強盗未遂と同視する理由
「強盗未遂の場合には刑法第二四三条の適用があるにかゝわらず、これと同一態様の窃盗未遂の準強盗を、強盗の既遂をもつて論ずるときは、右刑法第二四三条の適用は排除せられることゝなり彼此極めて不合理の結果を生ずるに至る」
強盗罪との均衡論。243条の適用根拠
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