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最判昭和24年3月8日

横領罪の不法領得の意思を「権限なく所有者でなければできない処分をする意思」と定義した。自己の利益を図る意図や後日補填の意思の有無は成否に影響しない。

刑法横領・背任罪本試験で 4 問(短答 3・論文 1)

出題:司法H26・司法H29・司法R4・司法R6

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
昭和23(れ)1412 業務上横領
裁判
判決・棄却
判例集
刑集 第3巻3号276頁
参照法条
刑法253條

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 横領罪の成立に必要な不法領得の意思の意義 二 農業會が寄託を受けた供出米の保管の任務と農業會長の不法處分

裁判要旨

一 横領罪の成立に必要な不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき權限がないのに所有者でなければできないような處分をする意思をいうのであつて必ずしも占有者が自己の利益取得を意圖することを必要とするものではなく、又占有者において不法に處分したものを後日に補顛する意思が行爲當時にあつたからとて横領罪の成立を妨げるものではない。 二 農業會は各農家から寄託を受けた供出米については政府への賣渡手續を終つた後政府の指圖によつて出庫するまでの間は、これを保管する任務を有するのであるから農業會長がほしいままに他に之を處分するが如きは固より法の許さないところである。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は村の農業会長であった。村内の各農家は、食糧管理法とこれに基づく命令により政府に売り渡すべき米穀(供出米)を農業会に寄託し、政府への売渡しを委託していた。被告人は、この供出米を保管している間に、米穀と魚粕とを交換するため、保管米をA消費組合ほか二者に宛てて送付した。原審(仙台高裁)はこれを横領と認定し、業務上横領罪の成立を認めた。

弁護人は次の点を主張して上告した。

  • 被告人には不法領得の意思がなく、原判決には理由不備・齟齬がある。
  • 原判決は虚無の証拠によって事実を認定した。
  • 本件の事実は横領罪に当たらない。

争点

  • 横領罪(刑法252条・253条)の成立に必要な不法領得の意思の意義
  • 自己の利益取得の意図や、後日補填する意思があることは不法領得の意思を否定するか
  • 農業会が寄託を受けた供出米について、農業会(会長)に保管の任務があるか

判旨

上告棄却。

  • 規範:横領罪の成立に必要な不法領得の意思とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいう。
  • 占有者が自己の利益取得を意図することは必要ない。
  • 不法に処分したものを後日補填する意思が行為当時にあっても、横領罪の成立は妨げられない。
  • 保管の任務:農業会は、各農家から寄託を受けた供出米について、政府への売渡手続を終えた後、政府の指図によって出庫するまでの間、これを保管する任務を負う。したがって、農業会長がほしいままにこれを他に処分することは許されない。
  • あてはめ:原審の確定した事実自体から、被告人の不法領得の意思を認めることができる。

判決文から

「横領罪の成立に必要な不法領得の意志とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意志をいうのであつて、」

横領罪の不法領得の意思の定義そのもの

「必ずしも占有者が自己の利益取得を意図することを必要とするものではなく、又占有者において不法に処分したものを後日に補填する意志が行為当時にあつたからとて横領罪の成立を妨げるものでもない。」

利益取得の意図は不要、補填の意思があっても成立

「農業会は各農家から寄託を受けた供出米については、政府への売渡手続を終つた後、政府の指図によつて出庫するまでの間は、これを保管する任務を有するのであるから、」

委託信任関係(保管の任務)の根拠を示した部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。