最判昭和23年5月20日
強盗殺人目的を隠し顧客を装って店に入った行為は、店側が入店を許しても住居侵入罪にあたるとした判例
出題:司法H28・予備H28
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 昭和23(れ)127 強盗殺人、強盗、住居侵入
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第2巻5号489頁
- 参照法条
- 刑法130條
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
住居侵入罪と住居權者の承諾(強盗殺人の目的を以て顧客を裝い他人の店に入つた行爲の違法性)
裁判要旨
刑法住居侵入罪の「故なく」とは正當と事由なくしての意であるから強盗殺人の目的を以て他人の店舗内に侵入したのは、すなわち、故なくこれに侵入したものに外ならない。そして住居權者の承諾ある場合は、違法を阻却すること勿論であるけれども、被害者において顧客を裝い來店した犯人の申出を信じ店内に入ることを許容したからと言つて、強盗殺人の目的を以て店内に入ることの承諾を與えたとは言い得ない。果して然らば被告人等の本件店屋内の侵入行爲が住居侵入罪を構成すること言うまでもない。
解説
事案
被告人らは強盗殺人の目的を持ちながら、顧客を装って被害者の店に来店した。被害者は客だという申出を信じ、店内に入ることを許した。被告人らはこうして店屋内に入り、強盗殺人・強盗・住居侵入の罪で有罪となった(原審は名古屋高裁)。
弁護人は上告趣意第1点で、被害者が入店を許した以上、住居侵入罪は成立しないという趣旨で争った。あわせて量刑不当や事実誤認も主張した。
争点
- 刑法130条(当時)の「故なく」の意義
- 住居権者の承諾と住居侵入罪の成否(承諾は違法を阻却するか)
- 顧客を装った犯人の申出を信じて入店を許した場合に、強盗殺人目的での立入りへの承諾があったといえるか
判旨
上告棄却。住居侵入罪の成立を認めた。
- 規範1:刑法130条の「故なく」とは「正当の事由なくして」の意味である。したがって、強盗殺人の目的で他人の店舗内に入ることは、故なく侵入したことにほかならない。
- 規範2:住居権者の承諾があれば違法が阻却される。ただし、承諾があったといえるかは、立入りの目的まで含めて判断される。被害者が顧客を装った犯人の申出を信じて店内に入ることを許しても、それは「強盗殺人の目的で店内に入ること」への承諾とはいえない。
- 結論:被告人らの店屋内への侵入行為は住居侵入罪を構成する。
量刑不当・事実誤認の主張は、適法な上告理由にあたらないとして退けた。
判決文から
「刑法住居侵入罪の「故なく」とは正当の事由なくしての意であるから強盗殺人の目的を以て他人の店舗内に侵入したのは、すなわち、故なくこれに侵入したものに外ならない。」
「故なく」の定義と、違法目的の立入りへのあてはめ
「住居権者の承諾ある場合は違法を阻却すること勿論であるけれども」
承諾を違法阻却事由として位置づけている
「被害者において顧客を装い来店した犯人の申出を信じ店内に入ることを許容したからと言つて、強盗殺人の目的を以て店内に入ることの承諾を与えたとは言い得ない。」
外見上の許容があっても、違法目的での立入りへの承諾は否定
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