最判昭和23年3月16日
賍物故買罪(現・盗品等有償譲受け罪)の故意は、盗品であるかもしれないと思いながらあえて買い受ける未必の故意で足りるとした判例
出題:司法H23・司法R5・予備H23
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 昭和22(れ)238 賍物故買
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第2巻3号227頁
- 参照法条
- 刑法256條2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 賍物故買罪に於ける犯意 二 犯罪構成要件たる事實の一小部分に付き被告人の自白以外他に證據なき場合
裁判要旨
一 賍物故買罪は賍物であることを知りながらこれを買受けることによつて成立するものであるが、その故意が成立する爲めには必ずしも買受くべき物が賍物であることを確定的に知つて居ることを必要としない或は賍物であるかも知れないと思いながらしかも敢てこれを買受ける意思(いわゆる未必の故意)があれば足りるものと解すべきである。 二 犯罪構成要件たる事實の大部分が他の證據の裏付によつて認め得られる以上其一部に付ては被告人の自白以外他に證據が無くても刑訴應急措置法第一〇條第三項に違反するものでないこと既に當裁判所の判例とする處で(昭和二二年一二月一六日言渡昭和二二年(れ)第一三六號事件判決參照)今なお變更の要を認めない。
解説
事案
被告人は、Aから衣類を買い受けた(判示(一))。司法警察官の聴取書には、被告人の次の供述が記載されていた。
- Aが「早く処置せねばいけん」と言った。
- 近頃、各地で衣類の盗難があった。
- 売りに来たのが朝鮮人であったため、Aらが盗んで売りに来たのではないかと思った。
また別の買受け(判示(二))については、被告人は原審公判廷で「怪しい品と知って買った」かとの問いに、どこで盗んだ品かまでは知らなかったが、同じ紋付が4、5枚もあったのでおかしいと思っただけだと述べた。
原審(広島高裁)は賍物故買罪(刑法256条2項)の成立を認めた。弁護人は次の2点で上告した。
- 売主から盗品と告げられたわけでもなく、この程度の証拠では知情を認定できない。
- 知情の証拠は被告人の自白しかなく、刑訴応急措置法10条3項に違反する。
争点
- 賍物故買罪(刑法256条2項)の故意として、賍物であることの確定的認識を要するか、未必的認識で足りるか
- 犯罪構成要件事実の一部(知情)について被告人の自白以外に証拠がない場合に、刑訴応急措置法10条3項(補強法則)に違反するか
判旨
上告棄却。
- 故意について:賍物故買罪は賍物であることを知りながら買い受けることで成立する。ただし、その故意には、買い受ける物が賍物であることを確定的に知っている必要はない。「賍物であるかも知れないと思いながらしかも敢てこれを買受ける意思(いわゆる未必の故意)」があれば足りる。
- 未必の故意の認定:売渡人から賍物であると明らかに告げられた事実がなくてもよい。買受物品の性質・数量、売渡人の属性・態度などの諸般の事情から「或は賍物ではないか」との疑いを持ちながら買い受けたと認められれば、同罪が成立する。
- 補強法則について:犯罪構成要件事実の大部分が他の証拠で裏付けられる以上、その一部(知情のような成立要件の一小部分)について自白以外の証拠がなくても、刑訴応急措置法10条3項に違反しない。
判決文から
「或は賍物であるかも知れないと思いながらしかも敢てこれを買受ける意思(いわゆる未必の故意)があれば足りるものと解すべきである」
未必の故意の定式。答案にそのまま使える
「苛くも買受物品の性質、数量、売渡人の属性態度等諸般の事情から「或は賍物ではないか」との疑を持ちながらこれを買受けた事実が認められれば賍物故買罪が成立するものと見て差支ない」
知情を認定する際の考慮要素を示した部分
「犯罪構成要件たる事実の大部分が他の証拠の裏付によつて認め得られる以上其一部に付ては被告人の自白以外他に証拠が無くても所論法条に違反するものでない」
補強証拠の範囲に関する判断
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
