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大判昭和13年2月7日

失踪宣告取消し後も民法32条1項後段により契約の効力が維持されるには、当事者双方の善意を要するとした判例

民法民法総則(権利能力・行為能力)本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法H29・司法R3・予備H29・予備R3

解説

事案

失踪宣告を受けた者について、後にその宣告が取り消された場面で、宣告後・取消し前にされた契約の効力が維持されるかが問題となった。

民法32条1項は、本人の生存などが証明されたときは家庭裁判所が失踪宣告を取り消さなければならないとする。そのうえで同項後段は、取消しは「失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない」と定める。

問題は、この「善意」が誰について必要かである。契約は当事者双方がかかわる行為であるため、次のいずれと解するかが争われた。

  • 当事者の一方(例えば相手方)が善意であれば足りるのか
  • 契約当事者双方が善意であることを要するのか

本判決はこの点について判断を示したものである。

争点

  • 民法32条1項後段の「善意でした行為」といえるためには、契約の当事者の一方の善意で足りるか、双方の善意を要するか

判旨

規範:民法32条1項後段により、失踪宣告後・取消し前にされた行為の効力が宣告取消しの影響を受けないとされるためには、契約のような双方行為については、行為の当事者双方が善意であることを要する(双方善意説)。

帰結:契約当事者の一方でも悪意であれば、その契約は32条1項後段による保護を受けない。宣告取消しの効力がその契約にも及ぶ。

答案での書き方:「32条1項後段の『善意』とは、契約については当事者双方の善意をいう」と規範を立てる。そのうえで、取引の両当事者それぞれについて、本人の生存(または宣告と異なる時期の死亡)を知っていたかを当てはめる。

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