在外国民国民審査権訴訟(在外日本人国民審査権訴訟)
国民審査法が在外国民に審査権行使を全く認めないのは違憲とし、違法確認の訴えを適法・認容、立法不作為の国賠も認めた
出題:司法H28・司法R5・司法R7・予備H28・予備R7
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 令和2(行ツ)255 在外日本人国民審査権確認等、国家賠償請求上告、同附帯上告事件
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第76巻4号711頁
- 参照法条
- (1~3につき) 憲法79条2項、憲法79条3項、憲法79条4項、最高裁判所裁判官国民審査法4条、最高裁判所裁判官国民審査法8条 (1、3につき) 憲法15条1項 (2につき) 行政事件訴訟法4条 (3につき) 国家賠償法1条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
1 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を全く認めていないことと憲法15条1項、79条2項、3項 2 国が在外国民に対して次回の最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査において審査権の行使をさせないことが違法であることの確認を求める訴えの適否 3 国会において在外国民に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるとされた事例
裁判要旨
1 最高裁判所裁判官国民審査法が在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を全く認めていないことは、憲法15条1項、79条2項、3項に違反する。 2 国が在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に対して国外に住所を有することをもって次回の最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査において審査権の行使をさせないことが憲法15条1項、79条2項、3項等に違反して違法であることの確認を求める訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法である。 3 国会において在外国民(国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民)に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査に係る審査権の行使を認める制度を創設する立法措置がとられなかったことは、次の⑴~⑶など判示の事情の下では、平成29年10月22日に施行された上記審査の当時において、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受ける。 ⑴ 国会においては、平成10年、在外国民に国政選挙の選挙権の行使を認める制度を創設する法律案に関連して、在外国民に審査権の行使を認める制度についての質疑がされた。 ⑵ 平成17年、最高裁判所大法廷判決により在外国民に対する選挙権の制約に係る憲法適合性について判断が示され、これを受けて、同18年の法改正により在外国民に国政選挙の選挙権の行使を認める制度の対象が広げられ、同19年、在外国民に憲法改正についての国民の承認に係る投票の投票権の行使を認める法律も制定された。 ⑶ 在外国民に審査権の行使を認める制度の創設に当たり検討すべき課題があったものの、その課題は運用上の技術的な困難にとどまり、これを解決することが事実上不可能ないし著しく困難であったとまでは考え難い。 (1、2につき、補足意見がある。)
解説
事案
国外に住み、国内の市町村に住所を有しない日本国民(在外国民)は、国民審査法上、最高裁判所裁判官の国民審査で投票できなかった。国民審査法8条は審査人名簿に「選挙人名簿」を用いると定め、在外選挙人名簿を含める規定がなかったためである。平成29年10月22日の衆院総選挙で、在外選挙人名簿に登録された原告らは総選挙には投票したが、国民審査の投票用紙は交付されなかった。
- 在外国民X1は、主位的に次回国民審査で審査権を行使できる地位の確認を求めた(地位確認の訴え)。予備的に、国外に住所を有することを理由に次回国民審査で審査権を行使させないことが違法であることの確認を求めた(違法確認の訴え)。
- 当時在外国民であった原告らは、在外審査制度を創設しなかった立法不作為を理由に、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた。
- 原審は、地位確認の訴えを却下し、違法確認の請求を認容し、国賠請求を棄却した。
争点
- 国民審査法が在外国民に審査権の行使を全く認めていないことは、憲法15条1項、79条2項・3項に違反するか
- 次回国民審査で審査権を行使させないことの違法確認の訴えは、公法上の法律関係に関する確認の訴え(行訴法4条)として適法か
- 在外審査制度を創設しなかった立法不作為は、国家賠償法1条1項の適用上違法か
判旨
1 違憲判断
- 国民審査法4条・8条を、在外国民に審査権の行使を認めるものと解することはできない。
- 審査権またはその行使の制限は原則として許されない。制限には「やむを得ないと認められる事由」が必要である。
- その事由は、制限をしなければ国民審査の公正を確保しつつ審査権の行使を認めることが「事実上不可能ないし著しく困難」な場合でなければ認められない。立法不作為によって行使できない場合も同様である。
- 在外国民に審査権の行使を全く認めないことは、憲法15条1項、79条2項・3項に違反する。
2 訴訟形式
- 地位確認の訴えは適法だが、法律解釈上その地位は認められず、請求は理由がない。
- 違法確認の訴えは公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法であり、請求を認容する。
3 国家賠償
- 権利行使の機会を確保する立法措置が必要不可欠で、それが明白であるのに、国会が正当な理由なく長期にわたって怠った場合は、国家賠償法1条1項の適用上違法となる。
- 本件立法不作為は、遅くとも平成29年国民審査当時、違法の評価を受ける(各5000円の賠償を認めた第1審を維持)。
判決文から
「審査権が国民主権の原理に基づき憲法に明記された主権者の権能の一内容である点において選挙権と同様の性質を有する」
審査権を選挙権と同視し、平成17年判決の枠組みを及ぼす根拠
「国民の審査権又はその行使を制限することは原則として許されず、審査権又はその行使を制限するためには、そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきである。」
審査権制限の原則禁止と「やむを得ない事由」の規範
「そのような制限をすることなしには国民審査の公正を確保しつつ審査権の行使を認めることが事実上不可能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り、上記のやむを得ない事由があるとはいえず」
「やむを得ない事由」の具体的内容(厳格な基準)
「国民に保障された審査権の基本的な内容等が憲法上一義的に定められていることが明らかである。」
違法確認を認めても立法裁量を害しない理由
「侵害を受けた後に争うことによっては権利行使の実質を回復することができない性質のものである。」
事前の確認訴訟が必要とされる理由
「国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するための立法措置をとることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠るときは」
立法不作為が国賠法上違法となる例外の規範
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
