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最判令和2年7月9日

被害者が求め、制度の目的・理念に照らし相当なときは、後遺障害逸失利益も定期金賠償の対象となるとした判例

民法不法行為訴えの利益判決の効力・既判力本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R5・予備R5

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成30(受)1856 損害賠償請求事件
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第74巻4号1204頁
参照法条
(1~3につき)民法417条,民法709条,民法722条1項,民訴法117条 (2につき)民法416条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合に,同逸失利益は定期金による賠償の対象となるか 2 交通事故に起因する後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当たり被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることの要否 3 交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合に,同逸失利益が定期金による賠償の対象となるとされた事例

裁判要旨

1 交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において,不法行為に基づく損害賠償制度の目的及び理念に照らして相当と認められるときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となる。 2 交通事故に起因する後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当たっては,事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しない。 3 交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において,同人が事故当時4歳の幼児で,高次脳機能障害という後遺障害のため労働能力を全部喪失し,同逸失利益の現実化が将来の長期間にわたるなど判示の事情の下では,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となる。 (1,2につき補足意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

当時4歳の被上告人は、平成19年、道路を横断中に上告人Y1運転の大型貨物自動車に衝突された(過失割合はY1が8割、被上告人側が2割)。被上告人は脳挫傷、びまん性軸索損傷等の傷害を負い、高次脳機能障害(自賠法施行令別表第2第3級3号)の後遺障害が残り、労働能力を全部喪失した。
被上告人は次の3者に損害賠償等を求めた。

  • Y1に対し民法709条に基づき
  • 加害車両の保有者である会社に対し自賠法3条に基づき
  • 対人賠償責任保険の保険会社に対し保険契約に基づき

そのうえで、後遺障害による逸失利益について、就労可能期間の始期(18歳になる月の翌月)から終期(67歳になる月)まで、各月に収入額を定期金で支払うよう求めた。
上告人らは次のように主張して争った。

  • 逸失利益は不法行為時に一定の内容で発生している。
  • 定期金賠償は、被害者の死亡で終了する性質の債権に限られるべきである。
  • 少なくとも被害者の死亡時を定期金の終期とすべきである。

原審は定期金賠償を認めた。

争点

  • 交通事故の後遺障害による逸失利益は、被害者が求めた場合に定期金による賠償の対象となるか
  • 定期金賠償を命ずる場合、就労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金の終期とする必要があるか
  • 本件事案において、定期金賠償を認めることが相当か

判旨

上告棄却。

  • 規範1(対象性):交通事故の被害者が、事故に起因する後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において、不法行為に基づく損害賠償制度の目的および理念に照らして相当と認められるときは、同逸失利益は定期金による賠償の対象となる。
  • 規範2(終期):定期金賠償を命ずるにあたっては、就労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金の終期とすることを要しない。ただし、事故の時点で被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がある場合は別である。
  • あてはめ:被上告人は事故当時4歳の幼児で、高次脳機能障害により労働能力を全部喪失しており、逸失利益は将来の長期間にわたり逐次現実化する。これらを総合考慮すると、定期金賠償の対象とすることは相当である。また、上記の特段の事情はうかがわれない。

判決文から

「交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において,上記目的及び理念に照らして相当と認められるときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となるものと解される。」

本判決の中心規範。被害者の請求と相当性が要件

「同一の事故により生じた同一の身体傷害を理由とする不法行為に基づく損害賠償債務は1個であり,その損害は不法行為の時に発生するものと解される」

損害の不法行為時発生・1個性を前提として維持

「民法は,不法行為に基づく損害賠償の方法につき,一時金による賠償によらなければならないものとは規定しておらず(722条1項,417条参照)」

定期金賠償を許容する実体法上の根拠

「就労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しないと解するのが相当である。」

定期金でも死亡時が終期とならないとした点

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。