岩沼市議会事件
地方議会議員に対する出席停止の懲罰の適否は司法審査の対象となるとし、昭和35年大法廷判決を変更した判例
出題:司法R3・司法R4・司法R5・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成30(行ヒ)417 出席停止処分取消等請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第74巻8号2229頁
- 参照法条
- 裁判所法3条1項,地方自治法134条1項,地方自治法135条1項3号,憲法92条,憲法93条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰と司法審査
裁判要旨
普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は,司法審査の対象となる。 (補足意見がある。)
解説
事案
岩沼市議会の議員Xは、同じ会派のA議員が海外渡航で常任委員会を欠席し、公開議場での陳謝の懲罰を受けて陳謝文を読み上げたことについて、議会運営委員会で次の趣旨の発言をした(本件発言)。
- 「読み上げられた中身に書いてあることは、事実とは限りません」
- 「政治的に妥協したんです」
市議会は本件発言を問題とする懲罰動議を閉会中の継続審査とし、懲罰特別委員会の審査を経て、9月定例会の初日に23日間の出席停止の懲罰を議決した(本件処分)。9月定例会の会期も23日間であった。市は条例に基づき、出席停止日数分として議員報酬27万8300円を日割りで減額して支給した。
Xは市を相手に、本件処分の取消しと減額分の報酬の支払を求めた。第1審は訴えを不適法とした。原審は、出席停止の懲罰は議員報酬の減額を伴う場合には司法審査の対象となるとして、第1審判決を取り消し、差し戻した。市が上告受理を申し立てた。
争点
- 地方議会議員に対する出席停止の懲罰の取消しを求める訴えは法律上の争訟(裁判所法3条1項)に当たるか
- 議会の自律的な権能を理由に、出席停止の懲罰の適否を司法審査の対象外とすべきか(昭和35年大法廷判決の当否)
判旨
上告棄却。普通地方公共団体の議会の議員に対する出席停止の懲罰の適否は、司法審査の対象となる。 これと異なる最大判昭和35年10月19日その他の判例は変更する。
規範は次のとおりである。
- 法律上の争訟性:議会は議決により議員に懲罰を科すことができ(地方自治法134条1項)、懲罰の種類・手続は法定されている(同法135条)。したがって出席停止の懲罰の取消訴訟は、法令の規定に基づく処分の取消しを求めるもので、その性質上、法令の適用によって終局的に解決し得る。
- 自律権との関係:出席停止の懲罰の性質と議員活動に対する制約の程度に照らすと、その適否を専ら議会の自主的・自律的な解決に委ねるべきとはいえない。議会に一定の裁量は認められるが、裁判所は常にその適否を判断することができる。
本件処分の取消しを求める部分は適法であり、議員報酬の支払を求める部分も当然に適法である。原審の判断は結論において是認された。
判決文から
「出席停止の懲罰を科された議員がその取消しを求める訴えは,法令の規定に基づく処分の取消しを求めるものであって,その性質上,法令の適用によって終局的に解決し得るものというべきである。」
法律上の争訟性を肯定した部分
「このような出席停止の懲罰の性質や議員活動に対する制約の程度に照らすと,これが議員の権利行使の一時的制限にすぎないものとして,その適否が専ら議会の自主的,自律的な解決に委ねられるべきであるということはできない。」
旧判例の「一時的制限」論を否定した核心
「出席停止の懲罰は,議会の自律的な権能に基づいてされたものとして,議会に一定の裁量が認められるべきであるものの,裁判所は,常にその適否を判断することができるというべきである。」
裁量を認めつつ常に審査可能とした規範
「これと異なる趣旨をいう所論引用の当裁判所大法廷昭和35年10月19日判決その他の当裁判所の判例は,いずれも変更すべきである。」
判例変更の明示
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
