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最判平成9年7月3日

留置物の譲受人が対抗要件を備える前に留置権者が使用・賃貸の承諾を得ていれば、新所有者は民法298条3項の消滅請求をできない

民法その他の担保物権本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R4・予備R4

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成6(オ)1279 建物明渡等
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第51巻6号2500頁
参照法条
民法177条,民法298条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

留置権者が留置物の使用等の承諾を受けた後に留置物の所有権を取得した者による留置物の使用等を理由とする留置権の消滅請求の可否

裁判要旨

留置物の所有権が譲渡等により第三者に移転した場合において、右につき対抗要件を具備するよりも前に留置権者が留置物の使用又は賃貸についての承諾を受けていたときは、新所有者は、留置権者に対し、右使用等を理由に留置権の消滅請求をすることはできない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被上告会社(請負人)は、合資会社D商店から建物の建築を請け負った。その建築請負残代金債権に関し、同建物について留置権を有していた。

被上告会社は、建物の所有権が上告人に移る原因となった不動産競売が開始されるよりも前に、D商店から建物の使用等について包括的な承諾を受けていた。その後、被上告会社は建物を使用し、競売開始後には第三者に賃貸した。

競売により建物の所有権を取得した上告人は、所有権に基づき建物明渡し等を請求した。被上告会社は留置権の抗弁を主張した。これに対し上告人は、被上告会社による建物の使用・賃貸を理由に、民法298条3項に基づく留置権の消滅請求を主張した。

原審(仙台高裁)は留置権の抗弁を認めた。上告人が上告したが、最高裁は上告を棄却した。

争点

  • 留置物の所有権が第三者に移転した場合、移転前に留置権者が受けた民法298条2項の使用・賃貸の承諾の効果を、新所有者に対抗できるか
  • 新所有者は、旧所有者の承諾に基づく使用・賃貸を理由として、民法298条3項の留置権消滅請求をすることができるか

判旨

上告棄却(留置権の抗弁を認めた原審を是認)。

規範:留置物の所有権が譲渡等により第三者に移転した場合において、新所有者がその移転につき対抗要件を具備するよりも前に、留置権者が民法298条2項所定の使用・賃貸の承諾を受けていたときは、次のとおりとなる。

  • 留置権者は、その承諾の効果を新所有者に対抗することができる。
  • 新所有者は、その使用等を理由に、同条3項による留置権の消滅請求をすることができない。

あてはめ:被上告会社は、上告人が所有権を取得する原因となった競売の開始前に、D商店から使用等について包括的な承諾を受けていた。したがって、上告人に対し、建物の使用だけでなく、競売開始後に第三者にした賃貸も対抗できる。上告人の消滅請求は採用できず、所有権に基づく明渡請求に対する留置権の抗弁は理由がある。

判決文から

「右につき対抗要件を具備するよりも前に留置権者が民法二九八条二項所定の留置物の使用又は賃貸についての承諾を受けていたときには、留置権者は右承諾の効果を新所有者に対し対抗することができ」

承諾と対抗要件具備の先後で決する規範部分

「新所有者は右使用等を理由に同条三項による留置権の消滅請求をすることができないものと解するのが相当である。」

結論:新所有者の消滅請求の否定

「上告人に対し、右建物の使用及び右競売開始後に第三者に対してした賃貸を対抗することができるものというべきである。」

競売開始後の賃貸も事前の包括的承諾で対抗可

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。