最判平成9年4月11日
譲渡担保の実行で不動産を取得した者からの明渡請求に対し、設定者は清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張できる。
出題:司法R1・司法R5・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成5(オ)358 建物所有権移転登記抹消登記手続、建物明渡
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第183号241頁
- 参照法条
- 民法295条,民法369条(譲渡担保)
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者の譲渡担保権設定者に対する明渡請求と譲渡担保権設定者の留置権の主張の可否
裁判要旨
譲渡担保権設定者は、譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる。
解説
事案
被上告人(設定者)は、昭和61年10月30日までにDから360万円を借り受けた。同日、その担保として自己所有の本件建物の所有権をDに移転し、売買を原因とする所有権移転登記をした。
被上告人が返済を遅滞したため、Dは平成元年9月21日ころ、譲渡担保権の実行として本件建物をE建設に売り渡した。その後、本件建物はE建設からFへ、Fから上告人へと順次売り渡され、同月26日、Dから上告人へ中間省略登記の方法で所有権移転登記がされた。Dは被上告人に対して清算金の支払義務を負っていた。
本件建物を占有する被上告人に対し、上告人が所有権に基づいて明渡しを求めた。被上告人は、Dに対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁を主張した。原審は、Dから清算金の支払を受けるのと引換えに明け渡すよう命じ、上告人が上告した。
争点
- 譲渡担保権の実行として目的不動産が第三者に譲渡された場合、設定者はその第三者(さらにその転得者)からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張できるか
- 留置権が認められる場合の判決主文の形(引換給付判決)
判旨
上告を棄却した。
規範:不動産を目的とする譲渡担保権者が、その実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、設定者は、その第三者またはその者からさらに譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権(民法295条)を主張できる。
あてはめ:Dは清算金支払義務を負っている。したがって、本件建物を占有する設定者は、転得者である上告人に対しても、Dから清算金の支払を受けるまで留置権を行使し、明渡しを拒絶できる。
結論:原審が「Dから清算金の支払を受けるのと引換えに」明渡しを命じた引換給付判決は正当である。
判決文から
「譲渡担保権設定者は、右第三者又は同人から更に右不動産の譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である」
転得者にも留置権を主張できるとする規範部分
「本件建物を占有する被上告人は、上告人に対しても、Dから清算金の支払を受けるまで、本件建物につき留置権を行使してその明渡しを拒絶することができるものというべきである」
支払義務者はDでも転得者に対抗できる点
「原審が、被上告人に対し、Dから清算金の支払を受けるのと引換えに本件建物を上告人に明け渡すことを命じたのは、正当である」
引換給付判決の形(Dからの支払と引換え)
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
