連座制合憲判決(組織的選挙運動管理者等の連座制)
組織的選挙運動管理者等の選挙犯罪による当選無効・立候補禁止(公選法251条の3)を、目的合理性と手段の必要性・合理性から合憲とした。
出題:司法R4・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成8(行ツ)193 当選無効及び立候補禁止
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第51巻3号1453頁
- 参照法条
- 公職選挙法251条の3,憲法前文,憲法1条,憲法15条,憲法21条,憲法31条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 公職選挙法二五一条の三と憲法前文、一条、一五条、二一条、三一条 二 公職の候補者を当選させる目的で会社の指揮命令系統を利用して選挙運動を行った右会社の代表取締役等が公職選挙法二五一条の三第一項に規定する組織的選挙運動管理者等に当たるとされた事例
裁判要旨
一 公職選挙法二五一条の三の規定は、憲法前文、一条、一五条、二一条、三一条に違反しない。 二 会社の代表取締役乙が、公職の候補者甲を当選させる目的の選挙運動を会社を挙げて行おうと企図し、従業員の朝礼及び下請業者との会食において甲にあいさつをさせ、投票及び投票の取りまとめを依頼するなどの選挙運動をする計画を会社の幹部らに表明した上、これを了承した右幹部らのうち丙及び丁に各人の役割等の概括的な指示をし、丙及び丁は、他の幹部や関係従業員に指示するなどして、朝礼及び会食の手配と設営、後援者名簿用紙の配布等の個々の選挙運動を実行させ、要請に応じた甲の出席した朝礼及び会食の席上、乙が会社として甲を応援する趣旨のあいさつをし、甲自らも同社の従業員又は下請業者らの応援を求める旨のあいさつをしたなど判示の事実関係の下においては、乙、丙及び丁は、公職選挙法二五一条の三第一項に規定する組織的選挙運動管理者等に当たる。
解説
事案
公職選挙法251条の3第1項は、組織的選挙運動管理者等が買収等の所定の選挙犯罪を犯して禁錮以上の刑に処せられた場合に、候補者の当選を無効とし、5年間、同一選挙区での同一公職の選挙への立候補を禁止する。これが組織的選挙運動管理者等の連座制である。
本件会社の代表取締役Eは、上告人(候補者)を当選させる選挙運動を会社を挙げて行おうと企図した。Eは、従業員の朝礼と、下請業者の慰労会に名を借りた会食に上告人を招いてあいさつさせ、投票や投票の取りまとめを依頼する計画を幹部らに表明し、F建設部長ら幹部が了承した。
EはF・Gに概括的な指示をし、F・Gは他の幹部や従業員に指示して、朝礼・慰労会の設営、後援者名簿用紙やポスターの配布・回収などを実行させた。上告人は朝礼と慰労会に出席し、Eは会社として上告人を応援する趣旨のあいさつをし、上告人自らも応援を求めた。
当選無効及び立候補禁止を認めた原審(仙台高裁)に対し、上告人が違憲などを主張して上告した。
争点
- 公選法251条の3の連座制は、憲法前文・1条・15条・21条・31条に違反するか
- 「組織的選挙運動管理者等」の概念は不明確・漠然として違憲か
- 会社の指揮命令系統を利用した選挙運動が「組織」による選挙運動に当たるか、また代表取締役らが組織的選挙運動管理者等に当たるか(「組織」「意思を通じ」の解釈)
判旨
結論:上告棄却。公選法251条の3は憲法前文・1条・15条・21条・31条に違反しない。
規範(答案用)
- 連座制の合憲性は、立法目的の合理性と、目的達成手段としての必要性・合理性で判断する。
- 本規定の目的は、民主主義の根幹である公職選挙の公明・適正を厳粛に保持するという極めて重要な法益の実現にあり、合理的である。
- 手段は、適用範囲・立候補禁止の期間・対象選挙を限定し、免責の道も設けているので、全体としてみれば必要かつ合理的である。
解釈
- 「組織的選挙運動管理者等」の概念は、同項の定義に照らして不明確・漠然とはいえない。
- 「組織」は、規模が大きく継続性があるものに限られない。
- 組織的選挙運動管理者等は、総括主宰者・出納責任者に準ずる者に限られない。
- 「意思を通じ」は、組織の具体的構成・指揮命令系統・運動内容までの認識・了解を要しない。
あてはめ:E(計画の立案・調整を行う者)、F・G(指揮・監督を行う者)は組織的選挙運動管理者等に当たる。上告人はEと意思を通じていた。
判決文から
「公職の候補者等がこれを防止するための注意を尽くさず選挙浄化の努力を怠ったときは、当該候補者等個人を制裁し、選挙の公明、適正を回復するという趣旨で設けられたものと解するのが相当である。」
連座制を候補者の選挙浄化義務違反への制裁と位置づけた
「民主主義の根幹をなす公職選挙の公明、適正を厳粛に保持するという極めて重要な法益を実現するために定められたものであって、その立法目的は合理的である。」
目的審査の核心部分
「このような規制は、これを全体としてみれば、前記立法目的を達成するための手段として必要かつ合理的なものというべきである。」
手段審査の結論。「全体としてみれば」に注意
「前記立法の趣旨及び同条の文言に徴し、所論のように限定的に解すべき理由はなく」
「組織」等の限定解釈を否定した部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
