最判平成9年11月11日
賭博債権の譲渡を異議なく承諾した債務者も、特段の事情がない限り、譲受人に公序良俗違反による無効を主張できる
出題:司法H25・司法H28
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成7(オ)2025 根抵当権設定登記抹消登記手続請求本訴、貸金請求反訴
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第51巻10号4077頁
- 参照法条
- 民法90条,民法468条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
賭博債権の譲渡を異議なく承諾した債務者が右債権の譲受人に対して賭博契約の公序良俗違反による無効を主張することの可否
裁判要旨
賭博の勝ち負けによって生じた債権が譲渡された場合においては、右債権の債務者が異議をとどめずに右債権譲渡を承諾したときであっても、債務者に信義則に反する行為があるなどの特段の事情のない限り、債務者は、右債権の譲受人に対して右債権の発生に係る契約の公序良俗違反による無効を主張してその履行を拒むことができる。
解説
事案
Dは、平成5年2月15日、被上告人を債務者とする債権を上告人に譲渡した。この債権は、賭博の負け金7000万円の支払を目的とするものである。被上告人は同日、この債権譲渡を異議をとどめずに承諾した。
その後、上告人(譲受人)は被上告人(債務者)に7000万円の支払を求めた(本訴は根抵当権設定登記抹消登記手続請求、反訴は貸金請求)。原審(大阪高裁)はこの支払請求を棄却すべきものとした。これに対し上告人が上告した。
債務者が信義則に反する行為をしたなどの特段の事情については、主張・立証がなかった。
争点
- 賭博債権の譲渡を債務者が異議をとどめずに承諾した場合(旧民法468条1項)、債務者は譲受人に対して、賭博契約が公序良俗違反(民法90条)により無効であると主張して履行を拒めるか
- 異議なき承諾による抗弁喪失制度が守る譲受人の利益と、公序良俗違反の無効のどちらを優先するか
判旨
上告を棄却した(譲受人の7000万円の請求は認められない)。
規範:賭博の勝ち負けによって生じた債権が譲渡された場合、債務者が異議をとどめずに債権譲渡を承諾したときでも、債務者は原則として、譲受人に対し、債権の発生原因である契約が公序良俗違反により無効であることを主張し、履行を拒むことができる。ただし、債務者に信義則に反する行為があるなどの特段の事情がある場合は別である。
あてはめ:本件ではDから上告人への賭博債権の譲渡を被上告人が異議なく承諾していたが、特段の事情の主張・立証がない。したがって、被上告人は賭博行為の公序良俗違反を主張して履行を拒むことができる。
判決文から
「債務者に信義則に反する行為があるなどの特段の事情のない限り、債務者は、右債権の譲受人に対して右債権の発生に係る契約の公序良俗違反による無効を主張してその履行を拒むことができるというべきである。」
規範の核心。原則として無効主張可、例外は特段の事情
「賭博行為は公の秩序及び善良の風俗に反すること甚だしく、賭博債権が直接的にせよ間接的にせよ満足を受けることを禁止すべきことは法の強い要請であって」
譲受人経由の「間接的」満足も禁止する点が理由の柱
「この要請は、債務者の異議なき承諾による抗弁喪失の制度の基礎にある債権譲受人の利益保護の要請を上回るものと解されるからである。」
利益衡量の結論。公序の要請が取引安全に優越する
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
