上尾市福祉会館事件
殺害された労組幹部の合同葬のための市福祉会館使用不許可を、管理上の支障が客観的・具体的に予測されないとして違法とした
出題:司法R1・司法R3・司法R7
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成5(オ)1285 国家賠償
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第50巻3号549頁
- 参照法条
- 地方自治法244条,上尾市福祉会館設置及び管理条例(昭和46年上尾市条例第27号)6条1項,憲法21条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
何者かに殺害された労働組合幹部の合同葬に使用するためにされた市福祉会館の使用許可申請に対する不許可処分が違法とされた事例
裁判要旨
何者かに殺害されたD関係労働組合の連合体の総務部長の合同葬に使用するためにされた市福祉会館の使用許可申請に対し、上尾市福祉会館設置及び管理条例(昭和四六年上尾市条例第二七号)六条一項一号が使用を許可しない事由として定める「会館の管理上支障があると認められるとき」に当たるとしてされた不許可処分は、右殺害事件についていわゆる内ゲバ事件ではないかとみて捜査が進められている旨の新聞報道があったとしても、右合同葬の際にまでその主催者と対立する者らの妨害による混乱が生ずるおそれがあるとは考え難い状況にあった上、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができない特別な事情があったとはいえず、右会館の施設の物的構造等に照らせば、右会館を合同葬に使用することがその設置目的やその確立した運営方針に反するとはいえないなど判示の事情の下においては、「会館の管理上支障がある」との事態が生ずることが客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測されたものということはできず、違法というべきである。
解説
事案
上尾市福祉会館は、市民の文化的向上と福祉の増進のために上尾市が設けた公の施設である。大ホールのほか結婚式関係施設などがあり、大ホールと2階以上の施設は出入口が別である。斎場用の特別な施設はなく、市は葬儀での利用に基本的に消極的だった。ただし、元市長の市民葬などに使われた例はある。
D関係労働組合の連合体である上告人は、総務部長Fが何者かに殺害されたため、追悼の合同葬を計画し、大ホールの使用許可を申請した。新聞は、この事件を捜査当局が内ゲバ事件とみて捜査している旨報じていた。館長は、反対者の妨害による混乱が懸念され、結婚式場など他施設の利用にも支障が生ずるとして、条例6条1項1号の「会館の管理上支障があると認められるとき」に当たるとし、不許可とした。
申請当時、同日の結婚式場の使用申込みはなく、その後もなかった。合同葬は日比谷公会堂で妨害なく行われた。上告人は国家賠償を求めたが、原審は処分を適法とし、上告人が上告した。
争点
- 集会用の公の施設の利用拒否と、地方自治法244条・憲法21条1項(集会の自由)との関係
- 条例6条1項1号「会館の管理上支障があると認められるとき」の解釈
- 反対者の妨害による混乱のおそれを理由に利用を拒否できるか
- 施設の設置目的・運営方針(祝儀優先)を理由とする不許可の適否
判旨
結論:不許可処分は条例の解釈適用を誤った違法なものである。原判決を破棄し、損害の有無・額を審理させるため差し戻した。
規範
- 集会の用に供する公の施設では、住民等は設置目的に反しない限り利用を原則として認められる。正当な理由のない利用拒否は、集会の自由の不当な制限につながるおそれがある。
- 「会館の管理上支障があると認められるとき」とは、管理上支障が生ずる事態が、許可権者の主観で予測されるだけでなく、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合をいう。
- 主催者が平穏に集会を行おうとしているのに、反対者が実力で妨害して紛争を起こすおそれがあることを理由に利用を拒めるのは、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られる。
判決文から
「管理者が正当な理由もないのにその利用を拒否するときは、憲法の保障する集会の自由の不当な制限につながるおそれがある。」
公の施設の利用拒否を集会の自由と結びつけた部分
「会館の管理上支障が生ずるとの事態が、許可権者の主観により予測されるだけでなく、客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測される場合に初めて、本件会館の使用を許可しないことができることを定めたものと解すべきである。」
不許可事由を限定解釈した中心規範
「警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないなど特別な事情がある場合に限られるものというべきである。」
反対者の妨害を理由とする拒否の限界
「警察の警備等によりその他の施設の利用客に多少の不安が生ずることが会館の管理上支障が生ずるとの事態に当たるものでないことはいうまでもない。」
警備による不安は管理上の支障にならない
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
