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最判平成8年11月22日

帰属清算型譲渡担保で、設定者が受戻権を放棄しても、それだけでは清算金支払請求権は発生しないとした判例

民法その他の担保物権本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R1・予備R5

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成6(オ)1532 清算金支払
裁判
判決・破棄自判
判例集
民集 第50巻10号2702頁
参照法条
民法369条(譲渡担保)

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

譲渡担保権設定者の受戻権放棄による清算金支払請求の可否

裁判要旨

譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

Xの被相続人Dは、Yから1億8000万円を借り受けた。その担保として、D所有の本件土地に帰属清算型の譲渡担保権を設定し、Yへの所有権移転登記をした。Dは弁済期に支払を怠って履行遅滞に陥り、その後死亡した。

Dの相続財産法人Xの相続財産管理人は、Yに対して本件土地の受戻権を放棄する旨を通知し、清算金の支払を請求した。この時点でYは、清算金の支払・提供も、清算金がない旨の通知もしていなかった。

YはD死亡後、本件土地で駐車場を経営して1320万円の収益を得ていた。Xはこの収益を不当利得として自働債権とし、貸金債務と相殺する意思表示をした。そのうえで、土地評価額から相殺後の貸金残額を控除した清算金の内金を請求した。

第一審・原審はXの請求を認容した。原審の理由は、設定者は履行遅滞後は受戻権行使の利益を放棄できる以上、放棄により清算金を請求できるというものである。これに対してYが上告した。

争点

  • 譲渡担保権者が清算金の支払・提供も清算金がない旨の通知もしない間に、設定者が受戻権を放棄した場合、設定者は清算金支払請求権を取得するか

判旨

破棄自判(請求棄却)。

規範:譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない。

  • 清算金支払請求権は、譲渡担保権者が実行として目的物を自己に帰属させ、または換価処分する場合に、その価額から被担保債権額を控除した残額を請求する権利である。
  • 受戻権は、実行完結までの間に、弁済等で被担保債務を消滅させて目的物の所有権等を回復する権利である。
  • 両者は発生原因を異にする別個の権利であり、受戻権を放棄しても清算金支払請求権は発生しない。

よって、受戻権放棄を根拠とするXの清算金請求は理由がない。

判決文から

「譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできないものと解すべきである。」

本判決の結論・規範そのもの

「両者はその発生原因を異にする別個の権利であるから」

受戻権と清算金請求権の別個性という第一の理由

「その効果は受戻権が放棄されたという状況を現出するにとどまり」

放棄の効果の限定

「本来譲渡担保権者が有している譲渡担保権の実行の時期を自ら決定する自由を制約し得ることとなり、相当でないことは明らかである。」

担保権者の実行時期選択の自由という第二の理由

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。