日本新党繰上補充事件
除名届が適法にされている限り、政党による名簿登載者の除名の不存在・無効は繰上補充当選の無効原因とならない
出題:司法R3・司法R5・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成7(行ツ)19 選挙無効
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第49巻5号1279頁
- 参照法条
- 公職選挙法(平成6年法律第2号による改正前のもの)86条の2第5項,公職選挙法(平成6年法律第2号による改正前のもの)86条の2第6項,公職選挙法(平成6年法律第2号による改正前のもの)98条2項,公職選挙法(平成6年法律第2号による改正前のもの)98条3項,公職選挙法(平成6年法律第2号による改正前のもの)112条2項4項,公職選挙法(平成6年法律第2号による改正前のもの)208条,憲法21条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
参議院(比例代表選出)議員の選挙後に名簿届出政党等から当選人とならなかった次順位の名簿登載者の除名届がされた後欠員が生じ後順位の名簿登載者が繰上補充による当選人と決定された場合に右除名が不存在又は無効であることと後順位の名簿登載者の当選無効の原因
裁判要旨
参議院(比例代表選出)議員の選挙後に名簿届出政党等から選挙長に対し当選人とならなかった次順位の名簿登載者甲の除名届がされ、その後欠員が生じたため甲より後順位の名簿登載者乙が繰上補充による当選人と決定された場合、甲の除名が不存在又は無効であることは、右除名届が適法にされている限り、乙の当選無効の原因とならない。
解説
事案
平成4年7月26日の参議院(比例代表選出)議員選挙で、日本新党は16人の名簿を届け出た。選挙の結果、第4順位までが当選し、第5順位のX(被上告人)は次点となった。
日本新党は平成5年6月23日、Xを除名により党所属者でなくなったとする届出(本件除名届)を、文書で選挙長に行った。届出には、除名手続を記載した文書と、除名が適正に行われたことを代表者Dが誓う宣誓書が添付されていた。
その後、第1・2順位のD・Eが衆議院議員総選挙に立候補して欠員が生じた。選挙会は、第6順位Hと第7順位C(参加人)を繰上補充による当選人と定めた。
XはCの当選の無効を求めて当選訴訟(公職選挙法208条)を提起した。原審(東京高裁)は、党則に除名の民主的・公正な適正手続の定めがなく、手続にも従っていないから除名は公序良俗に反し無効であり、これを前提とする当選人決定は存立の基礎を失い無効であるとした。
争点
- 選挙長・選挙会は、名簿届出政党等による名簿登載者の除名の存否・効力を審査すべきか
- 除名が不存在又は無効であることは、繰上補充による当選人決定についての当選訴訟の当選無効原因となるか
判旨
原判決を破棄し、Xの請求を棄却した(裁判官全員一致)。
- 選挙会の審査の範囲:法は、除名を理由に名簿登載者を当選人となり得る者から除外する要件として、除名届出書・除名手続書・宣誓書の提出だけを求めている。選挙会が除名の存否・効力を審査することは予定されていない。たとえ客観的に除名が不存在・無効でも、除名届に従って当選人を定めるべきである。
- 当選訴訟の無効原因:当選訴訟で当選が無効とされるのは、選挙会等の当選人決定の判断に、法の諸規定に照らして誤りがあった場合に限られる。
- 結論:名簿登載者の除名が不存在又は無効であることは、除名届が適法にされている限り、当選無効の原因とならない。本件除名届は法の規定どおりにされているから、除名が無効かどうかを論ずるまでもなく、当選人決定を無効とする余地はない。
判決文から
「法が名簿届出政党等による名簿登載者の除名について選挙長ないし選挙会の審査の対象を形式的な事項にとどめているのは、政党等の政治結社の内部的自律権をできるだけ尊重すべきものとしたことによるものであると解される。」
形式審査にとどめる理由=政党の内部的自律権の尊重
「政党等が組織内の自律的運営として党員等に対してした除名その他の処分の当否については、原則として政党等による自律的な解決にゆだねられているものと解される」
政党の処分は原則として自律的解決に委ねられる
「当選人に当選人となる資格がなかったとしてその当選が無効とされるのは、選挙会等の当選人決定の判断に法の諸規定に照らして誤りがあった場合に限られる。」
当選訴訟の審理対象を限定する規範
「実定法上の根拠がないのに裁判所が独自の当選無効事由を設定することにほかならず、法の予定するところではないといわなければならない。」
原審の「存立の基礎喪失」論を否定する理由
「名簿届出政党等による名簿登載者の除名が不存在又は無効であることは、除名届が適法にされている限り、当選訴訟における当選無効の原因とはならないものというべきである。」
本判決の結論的規範
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
