最判平成7年3月10日
物上保証人は、債務者の承認によって被担保債権に生じた消滅時効中断の効力を否定できないとした判例
出題:司法H22・司法H27・予備H27
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成6(オ)2325 土地根抵当権設定登記抹消登記手続
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第174号811頁
- 参照法条
- 民法147条3号,民法148条,民法396条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
物上保証人が債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することの許否
裁判要旨
物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することができない。
解説
事案
上告人は、他人の債務のために自己所有の土地に根抵当権を設定した物上保証人である。上告人は、被担保債権が時効により消滅したことを前提として、根抵当権設定登記の抹消登記手続を求めた。
これに対し、被担保債権については債務者による承認があり、消滅時効の中断(旧民法147条3号)が生じていた。そこで、債務者の承認による中断の効力が物上保証人にも及ぶか、すなわち物上保証人がこの効力を否定できるかが争われた。
原審(札幌高裁)は、物上保証人は債務者の承認による時効中断の効力を否定できないと判断し、上告人の請求を退けた。上告人はこれを不服として上告した。上告理由では、原審の判断が判例に抵触するとの主張がされた。
争点
- 物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することができるか(時効中断の相対効〔旧民法148条〕との関係)
判旨
上告棄却。
規範:他人の債務のために自己の所有物件に根抵当権等を設定した物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することができない。
理由:その効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反するからである。この判断は、上告理由が引用する判例とも抵触しない。
答案での書き方:「物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた時効中断(更新)の効力を否定することができない。これを否定することは担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反するからである(最判平成7年3月10日)」。
現行法では、承認による「中断」は「更新」(民法152条1項)に当たる。
判決文から
「他人の債務のために自己の所有物件につき根抵当権等を設定したいわゆる物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することは」
主体と対象(債務者の承認による中断)の特定
「担保権の付従性に抵触し、民法三九六条の趣旨にも反し、許されないものと解するのが相当である。」
結論と二つの理由(付従性・396条)
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