指紋押なつ拒否事件
みだりに指紋の押なつを強制されない自由を憲法13条で認め在留外国人にも及ぶとしつつ、当時の制度は合憲とした
出題:司法H25・司法R1・司法R3・司法R8・予備H28・予備R2・予備R6・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成2(あ)848 外国人登録法違反
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第49巻10号842頁
- 参照法条
- 憲法13条,外国人登録法(昭和57年法律75号による改正前のもの)14条1項,外国人登録法(昭和57年法律75号による改正前のもの)18条1項8号
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 みだりに指紋の押なつを強制されない自由と憲法一三条 二 我が国に在留する外国人について指紋押なつ制度を定めた外国人登録法(昭和五七年法律第七五号による改正前のもの)一四条一項、一八条一項八号と憲法一三条
裁判要旨
一 何人も個人の私生活上の自由の一つとしてみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有し、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、憲法一三条の趣旨に反し許されない。 二 我が国に在留する外国人について指紋押なつ制度を定めた外国人登録法(昭和五七年法律第七五号による改正前のもの)一四条一項、一八条一項八号は、憲法一三条に違反しない。
解説
事案
アメリカ合衆国国籍の被告人は、当時来日して神戸市に住んでいた。被告人は昭和56年11月9日に新規の外国人登録を申請したが、その際、外国人登録原票、登録証明書および指紋原紙2葉への指紋の押なつをしなかった。
このため、指紋押なつ義務を定める外国人登録法(昭和57年改正前)14条1項と、その違反を処罰する18条1項8号に当たるとして起訴された。
被告人は上告し、次の主張をした。
- 同法の指紋押なつ制度は、みだりに指紋を採られない権利を保障する憲法13条に違反する。
- 外国人を日本人と同じに扱わない点で憲法14条に違反する。
- 外国人の思想・良心の自由を害し、憲法19条に違反する。
原審は大阪高裁である。最高裁第三小法廷は上告を棄却した。
争点
- みだりに指紋の押なつを強制されない自由は憲法13条で保障されるか
- その自由の保障は在留外国人にも及ぶか
- 在留外国人に指紋押なつを義務づけ、罰則で強制する外国人登録法14条1項・18条1項8号は憲法13条に違反するか
- 同制度は憲法14条・19条に違反するか
判旨
結論:上告棄却。当時の指紋押なつ制度は憲法13条・14条・19条のいずれにも違反しない。
規範
- 憲法13条は、国民の私生活上の自由が国家権力の行使から保護されるべきことを定めている。
- そのため何人も、個人の私生活上の自由の一つとして、みだりに指紋の押なつを強制されない自由を有する。
- 国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、13条の趣旨に反し許されない。
- この自由の保障は、我が国に在留する外国人にも等しく及ぶ。
- ただしこの自由も無制限ではなく、公共の福祉のため必要がある場合には相当の制限を受ける。
あてはめ
- 立法目的には十分な合理性と必要性がある。
- 本件当時の制度内容は相当なものであった。
- 以上から、13条に違反しない。
判決文から
「憲法一三条は、国民の私生活上の自由が国家権力の行使に対して保護されるべきことを規定していると解される」
13条を私生活上の自由の根拠とする出発点
「何人もみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有するものというべきであり、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、同条の趣旨に反して許されず」
指紋押なつを強制されない自由の承認
「右の自由の保障は我が国に在留する外国人にも等しく及ぶと解される」
外国人の人権享有主体性に関する判示
「それ自体では個人の私生活や人格、思想、信条、良心等個人の内心に関する情報となるものではないが、性質上万人不同性、終生不変性をもつので、採取された指紋の利用方法次第では個人の私生活あるいはプライバシーが侵害される危険性がある」
情報の性質と利用の危険から保護の必要を導く
「精神的、肉体的に過度の苦痛を伴うものとまではいえず、方法としても、一般的に許容される限度を超えない相当なものであったと認められる」
手段の相当性のあてはめ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
