最判平成6年7月14日
代表取締役が発行した新株は、著しく不公正な方法による発行で、引受人の取締役が現に保有し、会社が閉鎖的でも有効とした判例
出題:司法H25・司法H26・予備H23・予備H26
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成2(オ)391 取締役会決議無効確認、新株発行無効等
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 集民 第172号771頁
- 参照法条
- 商法280条ノ15
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
著しく不公正な方法によってされた新株発行の効力
裁判要旨
株式会社を代表する権限のある取締役によって行われた新株の発行は、それが著しく不公正な方法によってされたものであり、かつ、右会社の取締役がその新株を引き受けて現に保有し、右会社が小規模で閉鎖的な会社であるなど原判示の事情がある場合でも、有効である。
解説
事案
上告人会社では、創業以来の代表取締役で発行済株式の過半数を有する被上告人と、取締役Dとが不仲になった。Dは、被上告人が株主総会を招集して会社の解散決議や自己の解任決議をすることを恐れた。そこで、これを阻止し、被上告人から支配権を奪って自己側が過半数の株式を有するようにする目的で、次の行動をとった。
- 昭和61年9月16日、取締役会で自らを代表取締役に選任させた。
- 同年11月14日、入院中の被上告人に招集通知をせずに取締役会を開き、新株発行決議を得た。
- 被上告人に秘したまま新株を発行した。募集方法は公募とされていたが、Dが全部を引き受けて払い込み、現に保有している。
被上告人は、①招集通知を欠く取締役会決議に基づく発行であること、②著しく不公正な方法による発行であることを理由に、新株発行の無効を求めた。第一審は請求を認容した。原審(大阪高裁)は②の主張を認めて本件新株発行を無効とし、第一審判決を是認して控訴を棄却した。原審の理由は、新株は計画者D自身が保有していて取引安全を考慮する必要がないこと、会社が小規模・閉鎖的であること、発行目的が支配権奪取であることから「特別の事情」がある、というものである。
争点
- 著しく不公正な方法による新株発行が新株発行無効の原因となるか
- 引受人である取締役が新株を現に保有していることや、会社が小規模で閉鎖的であることといった事情によって結論が変わるか
- 招集通知を欠く瑕疵ある取締役会決議に基づく新株発行の効力
判旨
結論:本件新株発行は有効である。原判決を破棄し、第一審判決の該当部分を取り消して、請求を棄却した。
規範
- 新株発行は会社の業務執行に準じて取り扱われる。そのため、会社を代表する権限のある取締役が新株を発行した以上、有効な取締役会決議がなくても、その発行は有効である(最判昭和36年3月31日の踏襲)。
- この理は、新株が著しく不公正な方法により発行された場合でも異ならない。
- 次の事情があっても結論は左右されない。
- 発行された新株を会社の取締役が引き受けて現に保有していること
- 会社が小規模で閉鎖的な会社であること
したがって、主張①②はいずれも主張自体理由がない。
判決文から
「新株発行は、株式会社の組織に関するものであるとはいえ、会社の業務執行に準じて取り扱われるものであるから、右会社を代表する権限のある取締役が新株を発行した以上、たとい、新株発行に関する有効な取締役会の決議がなくても、右新株の発行が有効であることは」
業務執行準則と昭和36年判例の踏襲
「この理は、新株が著しく不公正な方法により発行された場合であっても、異なるところがないものというべきである。」
不公正発行も無効原因でないとする核心部分
「新株の発行が会社と取引関係に立つ第三者を含めて広い範囲の法律関係に影響を及ぼす可能性があることにかんがみれば、その効力を画一的に判断する必要があり、右のような事情の有無によってこれを個々の事案ごとに判断することは相当でないからである。」
画一的処理の要請から個別事情を排斥
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
