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最判平成6年12月6日

共同で防衛行為をした後、一部の者が追撃した場合、追撃に加わらない者は新たな共謀がない限り正当防衛となるとした事例

刑法違法性阻却(正当防衛・緊急避難)共同正犯教唆・幇助・共犯の諸問題本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法H24・司法R4

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
平成2(あ)335 傷害
裁判
判決・破棄自判
判例集
刑集 第48巻8号509頁
参照法条
刑法36条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び侵害終了後になおも一部の者が暴行を続けた場合において侵害終了後に暴行を加えていない者について正当防衛が成立するとされた事例

裁判要旨

急迫不正の侵害に対し、複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び、侵害が終了した後に、なおも一部の者が暴行を続けた場合において、侵害終了後に暴行を加えていない者については、侵害現在時における暴行について防衛行為としての相当性が認められ、侵害終了後の暴行について共謀が認められないという判示の事実関係の下においては、過剰防衛ではなく、正当防衛が成立する。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は友人A・B・F・Gらと深夜に路上で雑談していた。そこへ酩酊したEが因縁をつけ、Gの長い髪をつかんで引き回し始めた。被告人ら4名はEの手を放させようと殴る蹴るなどし、被告人もEを数回足蹴にした。EはGの髪をつかんだまま幹線道路(不忍通り)を横断し、向かいの駐車場入口付近までGを引っ張っていった。

その後EはGの髪を放したが、「馬鹿野郎」と悪態をつき、応戦の気勢を示しながら駐車場奥へ後ずさりした。被告人ら4名はほぼ一団となってEの後を追った。その間、Bが殴りかかり、AもEに殴りかかろうとして、2度ともFが制止した。しかしその直後、AがEの顔面を手拳で殴打し、Eは転倒して頭部を打ち、外傷性小脳内血腫等の重傷を負った。

被告人は追撃中、自ら暴行を加えておらず、他の者の暴行を制止してもいない。第一審・原審は、全体を一連一体の行為として共謀による傷害罪の成立を認め、過剰防衛とした(懲役10月・執行猶予2年)。

争点

  • 複数人が共同して防衛行為に及び、侵害終了後に一部の者が暴行を続けた場合、追撃に加わらなかった者の正当防衛の成否をどう判断するか
  • 侵害終了後の暴行について、共同意思からの離脱を問うべきか、新たな共謀の成否を問うべきか
  • 被告人に追撃行為についての共謀が認められるか

判旨

原判決・第一審判決(被告人部分)を破棄し、被告人は無罪とした。

規範は次のとおりである。

  • 複数人が共同して防衛行為としての暴行に及び、侵害終了後になお一部の者が暴行を続けた場合、後の暴行を加えていない者の正当防衛の成否は、侵害現在時と侵害終了後とに分けて考察する。
  • 侵害現在時の暴行が正当防衛と認められる場合、侵害終了後の暴行については、防衛行為の共同意思から離脱したかどうかではなく、新たに共謀が成立したかどうかを検討する。
  • 新たな共謀の成立が認められるときに初めて、侵害現在時と侵害終了後の一連の行為を全体として考察し、防衛行為としての相当性を検討する。

本件のあてはめは次のとおりである。

  • 反撃行為(EがGの髪を放すまで)は急迫不正の侵害に対する相当な防衛行為であり、正当防衛が成立する。
  • 追撃行為については、被告人に新たな共謀は認められない。
  • したがって、両行為を一連一体として総合評価する余地はない。

判決文から

「侵害現在時と侵害終了後とに分けて考察するのが相当であり」

侵害の前後で行為を分断して評価する基本枠組み

「侵害現在時における防衛行為としての暴行の共同意思から離脱したかどうかではなく、新たに共謀が成立したかどうかを検討すべきであって」

離脱ではなく新たな共謀の成否を問うという核心

「共謀の成立が認められるときに初めて、侵害現在時及び侵害終了後の一連の行為を全体として考察し、防衛行為としての相当性を検討すべきである。」

一連一体評価(過剰防衛)の前提は新たな共謀

「被告人ら四名がほぼ一団となっていたからといって、被告人ら四名の間にEを追撃して暴行を加える意思があり、相互にその旨の意思の連絡があったものと即断することができない」

一団での追従だけでは共謀を推認できない

「右反撃行為は、いまだ防衛手段としての相当性の範囲を超えたものということはできない。」

反撃段階の正当防衛成立の結論

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。