最判平成6年12月20日
土地共有者全員が建物共有者の一人の債務のため各持分に共同で抵当権を設定しても、特段の事情がない限り法定地上権は成立しない
出題:司法H24・司法R3
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成2(オ)663 建物収去土地明渡等
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第48巻8号1470頁
- 参照法条
- 民法388条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
地上建物の共有者の一人にすぎない土地共有者の債務を担保するため土地共有者の全員が各持分に共同して抵当権を設定した場合に法定地上権が成立しないとされた事例
裁判要旨
地上建物の共有者九人のうちの一人である土地共有者甲の債務を担保するため土地共有者の全員が共同して各持分に抵当権を設定し、かつ、甲以外の土地共有者らが甲の妻子である場合に、右抵当権の実行により甲だけについて民法三八八条本文の事由が生じたとしても、甲以外の土地共有者らが法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができる客観的、外形的事実があるとはいえず、共有土地について法定地上権は成立しない。 (補足意見がある。)
解説
事案
本件土地は、B1とその妻子の計3名の共有であった。3名は共同して、B1を債務者とし、国民金融公庫のために本件土地に抵当権を設定し、登記を了した。
一方、本件土地上の本件建物は、B1の父Dの所有であった。Dの死亡により、B1・B2を含むDの子ら9名が相続し、共有となった。
もともとDは土地建物をB1に贈与する意向であった。しかし、B1単独では贈与税を払う資力がないため、土地はB1と妻子に贈与した。建物は、B1が事業に失敗して債権者から差押えを受けるおそれがあったため、D名義のままにしていた。
公庫の申立てで抵当権に基づく競売手続が開始され、上告人(X)が本件土地を買い受けた。Xは、土地所有権に基づき建物収去土地明渡しを請求した。
- 第一審:請求を認容した。
- 原審:土地共有者全員について法定地上権を認め、請求を棄却した。
Xが上告した。
争点
- 土地共有者の一人についてのみ民法388条本文の事由が生じた場合に、共有土地について法定地上権が成立するか
- 土地共有者全員が、建物共有者の一人である土地共有者の債務のため各持分に共同で抵当権を設定した事実や、共有者間の人的関係(妻子)から、他の共有者の法定地上権容認を認めうるか
判旨
原判決を破棄し、法定地上権の成立を否定した(第一審の請求認容判決を維持)。
規範:土地共有者の一人だけについて民法388条本文の事由が生じても、それだけでは足りない。他の共有者らが持分に基づく使用収益権を事実上放棄し、当該共有者の処分にゆだねていたことなどにより、法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができる特段の事情がない限り、共有土地に法定地上権は成立しない。
特段の事情の判断資料:
- 判断は、登記簿の記載等の客観的・外形的事実による。
- 土地共有者間の人的関係(妻子であること)のような公示されない事情によって、法定地上権の成否を決するのは相当でない。
本件へのあてはめ:9名の建物共有者の一人にすぎない土地共有者の債務のために、全員が共同で持分に抵当権を設定したという事実だけでは、他の共有者が法定地上権の発生を容認していたとはいえない。
その他の抗弁:
- 約定地上権の主張は、登記がないため買受人に対抗できず、失当である。
- 権利濫用の主張も理由がない。
判決文から
「共有者は、各自、共有物について所有権と性質を同じくする独立の持分を有しているのであり、かつ、共有地全体に対する地上権は共有者全員の負担となるのであるから」
原則不成立の根拠(持分の独立性・全員の負担)
「法定地上権の発生をあらかじめ容認していたとみることができるような特段の事情がある場合でない限り、共有土地について法定地上権は成立しない」
答案に書く規範部分
「土地共有者間の人的関係のような事情は、登記簿の記載等によって客観的かつ明確に外部に公示されるものではなく、第三者にはうかがい知ることのできないものである」
内部事情を判断資料から排除する理由
「右建物のために許容していた土地利用関係がにわかに地上権という強力な権利に転化することになり、ひいては、右土地の売却価格を著しく低下させることとなる」
共同設定の事実だけでは足りない理由
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
