最判平成6年11月22日
一部請求で相殺の抗弁が認められる場合は外側説で処理し、自働債権の既判力は残部に対応する部分には及ばないとした判例
出題:司法H26・予備H26・予備H29・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成2(オ)1146 損害賠償
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第48巻7号1355頁
- 参照法条
- 民法505条,民訴法186条,民訴法199条2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 金銭債権の一部請求と相殺 二 金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺のため主張された自働債権の存否の判断の既判力
裁判要旨
一 特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺の抗弁が理由がある場合には、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、請求額が残存額の範囲内であるときは請求の全額を、残存額を超えるときは残存額の限度でこれを認容すべきである。 二 特定の金銭債権の一部を請求する訴訟において相殺のため主張された自働債権の存否の判断は、右金銭債権の総額から一部請求の額を控除した残額部分に対応する範囲については既報力を生じない。
解説
事案
損害賠償請求事件である。原告(被上告人)は特定の金銭債権のうち一部を請求した(一部請求)。第一審はこの一部請求を認容した。これに対し被告(上告人)のみが控訴し、控訴審で新たに相殺の抗弁を主張した。
控訴審(福岡高裁)は次のように処理した。
- 原告の請求債権の総額を、第一審の認定額を超える額で確定した。
- その総額から、上告人が新たに主張した相殺の自働債権の額を控除した。
- 控除後の残存額が第一審判決の認容額を超えるとして、上告人の控訴を棄却した。
上告人は、この処理が違法である(一部請求と相殺の処理方法、不利益変更禁止の原則違反)として上告した。
争点
- 金銭債権の一部請求訴訟で相殺の抗弁が理由がある場合、自働債権の額を債権総額から控除するのか、一部請求額から控除するのか(外側説・内側説・按分説)
- 一部請求訴訟で相殺に供された自働債権の存否の判断について、既判力(旧民訴法199条2項、現114条2項)が及ぶ範囲
- 被告のみが控訴し、控訴審で新たに出された相殺の抗弁を認めつつ控訴を棄却することが、不利益変更禁止の原則(現304条)に反するか
判旨
上告棄却。
- 一部請求と相殺(外側説):一部請求の事件で被告の相殺の抗弁が理由がある場合は、次の手順で処理する。
- まず当該債権の総額を確定する。
- 総額から自働債権の額を控除して残存額を算定する。
- 一部請求額が残存額の範囲内なら、請求をそのまま認容する。
- 一部請求額が残存額を超えるなら、残存額の限度で認容する。
- 自働債権の既判力:相殺の抗弁により自働債権の存否に既判力が生じるのは、請求の範囲に対して「相殺ヲ以テ対抗シタル額」に限られる。したがって、総額から自働債権額を控除した残存額が一部請求額を超えるときは、一部請求の額を超える範囲の自働債権の存否には既判力を生じない。
- 不利益変更禁止との関係:一部請求を認容した第一審判決に被告のみが控訴し、控訴審で新たに出た相殺の抗弁が理由がある場合でも、総額から自働債権額を控除した残存額が第一審認容額を超えるとして控訴を棄却することは、不利益変更禁止の原則に反しない。
判決文から
「まず、当該債権の総額を確定し、その額から自働債権の額を控除した残存額を算定した上、原告の請求に係る一部請求の額が残存額の範囲内であるときはそのまま認容し、残存額を超えるときはその残存額の限度でこれを認容すべきである。」
外側説の処理手順そのもの。答案の規範
「一部請求は、特定の金銭債権について、その数量的な一部を少なくともその範囲においては請求権が現存するとして請求するものである」
外側説を採る根拠となる一部請求の性質論
「相殺の抗弁により自働債権の存否について既判力が生ずるのは、請求の範囲に対して「相殺ヲ以テ対抗シタル額」に限られる」
自働債権の既判力の範囲を画する部分
「控訴を棄却しても、不利益変更禁止の原則に反するものではない。」
被告のみ控訴の場面での結論
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
