最判平成6年1月20日
取締役会決議を要する「重要な財産の処分」への該当性は、価額・総資産比・保有目的・処分態様・従来の取扱い等の総合考慮で判断するとした判例
出題:司法H27・司法R3・司法R7
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成5(オ)595 株主権確認
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第48巻1号1頁
- 参照法条
- 商法260条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 商法二六〇条二項一号にいう重要な財産の処分に当たるか否かの判断基準 二 会社の総資産の約一・六パーセントに相当する価額の株式の譲渡が商法二六〇条二項一号にいう重要な財産の処分に当たらないとはいえないとされた事例
裁判要旨
一 商法二六〇条二項一号にいう重要な財産の処分に当たるか否かは、当該財産の価額、その会社の総資産に占める割合、保有目的、処分行為の態様及び会社における従来の取扱い等の事情を総合的に考慮して判断すべきである。 二 株式が、帳簿価額では七八〇〇万円で会社の総資産の約一・六パーセントに相当し、適正時価を把握し難く、その譲渡が、代価いかんによっては会社の資産及び損益に著しい影響を与え得るものであり、営業のため通常行われる取引に属さないなど判示の事実関係の下においては、右株式の譲渡は、商法二六〇条二項一号にいう重要な財産の処分に当たらないとはいえない。
解説
事案
ショッピングセンター等を経営するX社(上告人)では、創業家D家と代表取締役Fらとの間で内紛が生じた。D家の親戚でE社の代表取締役でもあるDが一時X社の代表取締役となり、その在任中に、X社が保有するE社株式12万1000株(E社の発行済株式の7.56%)をYに代金7986万円で譲渡した。この譲渡についてX社の取締役会の承認決議はなく、翌日Dは解任された。
X社の総資産は約47億8640万円、本件株式の帳簿価額は7800万円(総資産の約1.6%)であった。E社はX社株式の17.86%を保有していたが、両社間に商品取引はなかった。X社は過去に、他社株式の譲渡を取締役会で承認したことがあった。
X社は、本件譲渡が商法260条2項1号に違反し無効であるとして、本件株式の株主権確認を求めた。原審は、本件株式は配当を受けていただけで営業に不可欠な財産ではないこと、代価を取得できること、総資産との対比などから「重要な財産」に当たらないとして、請求を棄却した。
争点
- 商法260条2項1号(現会社法362条4項1号)にいう「重要な財産の処分」に当たるか否かの判断基準
- 総資産の約1.6%に相当する保有株式の譲渡が「重要な財産の処分」に当たるか
判旨
原判決破棄・差戻し。
規範:「重要な財産の処分」に当たるかは、次の事情を総合的に考慮して判断する。
- 当該財産の価額
- その会社の総資産に占める割合
- 当該財産の保有目的
- 処分行為の態様
- 会社における従来の取扱い等
あてはめ:本件株式は帳簿価額7800万円で総資産の約1.6%にすぎない。しかし、次の事実関係の下では「重要な財産の処分」に当たらないとはいえない。
- 適正時価を把握し難く、代価いかんでは会社の資産・損益に著しい影響を与え得る
- 営業のため通常行われる取引に属さない
- 本件譲渡がX社とE社との関係に影響を与え、相当な重要性を有するとみることもできる
- 会社は少額の保有株式譲渡でも取締役会で可否を決してきた
原審の挙げた理由で該当性を否定したのは審理不尽・法令解釈適用の誤りである。
判決文から
「商法二六〇条二項一号にいう重要な財産の処分に該当するかどうかは、当該財産の価額、その会社の総資産に占める割合、当該財産の保有目的、処分行為の態様及び会社における従来の取扱い等の事情を総合的に考慮して判断すべきものと解するのが相当である。」
答案にそのまま書く総合考慮の判断基準
「本件株式はその適正時価が把握し難くその代価いかんによっては上告人の資産及び損益に著しい影響を与え得るものであり、しかも、本件株式の譲渡は上告人の営業のため通常行われる取引に属さないのであるから」
比率が小さくても重要性を肯定しうる質的要素
「上告人においてはその保有株式の譲渡については少額のものでも取締役会がその可否を決してきたものとみることもできる。」
「従来の取扱い」の具体的な使い方
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
