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同姓同名弁護士事件

最決平成5年10月5日

同姓同名の弁護士になりすまし「弁護士甲」名義で業務関連文書を作成した行為に私文書偽造罪の成立を認めた

刑法文書偽造罪本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法H30・司法R5・予備H30・予備R4

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成5(あ)135 有印私文書偽造、同行使
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第47巻8号7頁
参照法条
刑法159条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して「弁護士甲」の名義で文書を作成した所為が私文書偽造罪に当たるとされた事例

裁判要旨

自己の氏名が弁護士甲と同姓同名であることを利用して、「弁護士甲」の名義で弁護士の業務に関連した形式、内容の文書を作成した所為は、たとえ名義人として表示された者の氏名が自己の氏名と同一であったとしても、私文書偽造罪に当たる。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人は弁護士資格を持たないが、A弁護士会所属の弁護士Bと同姓同名であることを利用し、Bであるかのように装っていた。被告人を弁護士と信じていた不動産業者Cから弁護士報酬を得ようとして、昭和63年2月下旬ころ、次の3通を作成し、郵便で一括してCに交付した。

  • 「A弁護士会所属、弁護士B」と記載し、B弁護士の角印に似せた角印を押した、土地調査の鑑定料等7万8000円を請求する「弁護士報酬金請求について」と題する書面
  • 上記金額をB名義の口座に振り込むよう依頼する振込依頼書
  • 「辯護士B職印」と刻した丸印等を押した請求書

さらに同年3月17日ころ、土地の調査結果を報告する「経過報告書」と、鑑定料等10万円の領収証を同様の名義・印章で作成し、Cの代理人に一括交付した。

有印私文書偽造・同行使罪で起訴され、第一審・原審(大阪高裁)とも有罪とした。最高裁は上告を棄却し、職権で判断を示した。

争点

  • 自己の本名と同一の氏名を用いて作成した文書でも、私文書偽造罪(刑法159条1項)の「偽造」に当たるか
  • 文書の名義人はどのように特定されるか(氏名のみか、資格・肩書を含めて特定されるか)

判旨

結論:私文書偽造罪・同行使罪の成立を認めた原判断は正当であり、上告棄却。

規範:私文書偽造の本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にある(最判昭和59年2月17日を参照)。

あてはめ:本件各文書は、弁護士の業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式・内容のものである。したがって、表示された名義人は「A弁護士会に所属する弁護士B」であり、弁護士資格を持たない被告人とは別人格である。そうである以上、名義人として表示された氏名が被告人の氏名と同一であっても、名義人と作成者の人格の同一性にそごを生じさせたものとして偽造に当たる。

判決文から

「私文書偽造の本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にあると解される」

偽造の定義(人格の同一性説)の基本規範

「たとえ名義人として表示された者の氏名が被告人の氏名と同一であったとしても」

本名使用でも偽造になりうることを明示

「本件各文書が弁護士としての業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式、内容のものである以上、本件各文書に表示された名義人は、A弁護士会に所属する弁護士Bであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者であることが明らかである」

文書の形式・内容から資格込みで名義人を特定

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。